子どもにイライラして、そんな自分が嫌になる。他の先生が自然にやっていることが、自分にはどうしてもできない。「私、保育士に向いてないのかも」と、ふと思う瞬間がある。
保育士歴トータル13年のはなです。新卒で入った幼稚園は1か月で辞めています。「仕事が続かない自分は、社会人にすら向いていない」とまで思った経験があります。
この記事では、向いてないと感じたときの判断のヒントを、私自身の話を交えながら書きます。向いてないと感じることと、今すぐ辞めるべきかどうかは、別の話です。
- 保育士に向いてないかもと感じる主な理由
- 本当に保育士に向いてないのか、今の園が合わないだけなのか
- 辞める前に確認したい判断基準
- それでもつらいときの選択肢
保育士に向いてないかもと感じる瞬間
向いてないという感覚は、ある特定の場面で突然やってきます。「やっぱり私はダメだ」と思わせる、あの感覚です。どんな場面で感じやすいか、いくつか挙げてみます。
子どもにイライラして自己嫌悪になるとき
寝かしつけで、やっと静かになったと思った瞬間に1人が泣き出す。その声につられて全員が起きる。心の中で「もー!!」と叫ぶ。
でも隣の保育士は、笑顔のまま対応している。
「なんで私はこんなにイライラするんだろう」「子どもが好きで保育士になったのに、こんな気持ちになっていいのか」と、自己嫌悪に落ちる。
特定の子どもに対して、どうしても苦手意識が消えないこともあります。正直、生理的に無理だと感じてしまうことがある、という人もいるかもしれません。そういう気持ちになること自体を「向いてない証拠だ」と思いがちです。
でも、イライラすること自体は向いてないサインではありません。これは後で詳しく書きます。
他の先生と比べて自信がなくなるとき
経験年数が増えても、ベテランの先生の動き方を見ると「まだ自分には遠い」と感じる場面があります。
困っている子どもに、先輩がさっと寄り添って表情を変えた。自分は同じ子どもに何度関わっても、うまく心を開いてもらえていない。
「経験を積めばできるようになる」と言い聞かせていても、感じ続けることへの疲れが積み重なっていきます。
ピアノ・製作・書類・保護者対応が苦手なとき
保育士の仕事は、子どもと遊ぶだけではありません。ピアノ、製作、書類、行事準備、保護者対応、同僚との連携など、求められることがとても多い仕事です。
その中のひとつが苦手なだけで、「私は保育士に向いてない」と感じてしまうことがあります。
でも、ピアノが苦手でも子どもの気持ちに寄り添うのが上手な先生はいます。製作が苦手でも、保護者との関係づくりが上手な先生もいます。保育士に必要な力はひとつではありません。苦手なことがあるから向いてない、とは言い切れません。
「向いてない」と言われて傷ついたとき
誰かの口から「向いてないんじゃない?」と言われたとき、その言葉は思いのほか深いところに刺さります。
先輩に言われたのか、保護者に言われたのか。悪意があったかどうかに関わらず、言われた事実は消えない。「そうかもしれない」という気持ちが先に来て、反論する気力すら出てこない。そういうとき、人は「向いてない」を内側に取り込んでしまいやすいです。
学生時代の実習や新人時代にうまく動けなかったとき
保育学生の頃に実習でうまく動けないと、「資格を取っても保育士に向いてないのでは」と不安になることがあります。
学生の頃、実習先で子どもたちの前に立ったとき、「何かになりきって振り切らなきゃいけない」という感覚がありました。歌のお姉さんみたいに、恥ずかしさをゼロにして子どもに向き合う。でも恥ずかしさが先に立って、体が動かなかった。
あのとき感じた「高い壁」が、向いてないという感覚の最初でした。
向いてないと感じるのは、能力不足とは限らない
「私には向いてない」という気持ちの正体を、少し分解してみます。
実習で感じた「高い壁」の正体
先ほど書いた実習の話の続きです。
あの頃の私は「子どもを惹きつけられる保育士=何でも振り切れる人」だと思っていました。だから恥ずかしがり屋の自分には無理だ、と。
でも10年以上働いてわかったのは、保育士に必要なのは「キャラクターの濃さ」ではないということです。静かに寄り添える保育士を、子どもは求めていることがある。子どもによって、合う大人のタイプが違う。
実習のときの「向いてない」は、保育という仕事の一側面しか見えていない段階で判断していただけでした。
新卒1か月で辞めた私が後から気づいたこと
新卒で入った幼稚園を、私は入職から1か月で辞めました。園長からのパワハラでパニック障害になったのが直接の理由です。でも当時の私は「仕事が続かない自分=社会人にすら向いていない」とまで思っていました。
その後、託児所でのアルバイトを経て認可保育園に就職し、約10年勤続しました。
今振り返ると、あのとき辞めたのは私が弱かったからではなく、環境が異常だったからです。「向いてない」と感じたのは、普通の人でも壊れる環境にいたから。能力と環境を切り分けて考えることが、当時の私にはできていませんでした。
経験不足や環境のせいで、自信をなくしているだけの場合もある
4〜5年目になったとき、子どもや保護者との関わり方が少しずつわかってきた感覚がありました。困っている子どもの背景が読めるようになる。苦手だった保護者との距離感が、なんとなく掴めてくる。
それまで「向いてない」と思っていた場面が、「経験が足りていなかっただけ」に見え方が変わっていった。
向いてないと感じているうちの一部は、まだ経験が追いついていないことへの焦りです。時間が解決する部分が、確かにあります。
「保育士に向いてない」と「今の園が合わない」は別の話
向いてないという気持ちの多くは、実は「今の園が合わない」という状態から来ていることがあります。
仕事内容がつらいのか、人間関係がつらいのか
保育士の仕事がつらいのか、今の職場の人間関係がつらいのか。この2つは、分けて考える必要があります。
仕事内容自体は好きなのに、毎朝行くのが億劫なら、環境のせいである可能性が高い。保育士という仕事ではなく、今の園が合っていないだけかもしれない。
先輩や同僚との関係に消耗しているなら、保育士の人間関係に疲れたときの対処法も参考にしてください。
園の方針や雰囲気が合わないだけの場合もある
保育の考え方は、園によって大きく違います。自由保育を大切にする園もあれば、規律を重視する園もある。自分の保育観と園の方針がずれているとき、「私は保育士に向いてない」という感覚として出てくることがあります。
でも実際には、保育士としての能力の問題ではなく、方針のミスマッチです。
向いてないかどうか確かめる3つの問い
自分が「向いてない」と「合わない」のどちらに近いか、確かめるための問いを3つ挙げます。
今の職場以外の保育園でも、同じようにつらいと思えるか。
子どもと関わる時間そのものが苦痛か、それとも職場の環境がつらいのか。
保育士を辞めたいのか、それとも今の園を辞めたいのか。
3つとも「今の園が問題」に近い答えが出るなら、保育士に向いてないのではなく、環境が合っていないだけかもしれません。
保育士に向いてないかもと思ったときのチェックリスト
向いてないのか、今の環境が合わないだけなのかを整理するために、いくつかの項目を確認してみてください。
こちらが多く当てはまるなら、環境や状況が影響している可能性があります。
- 人間関係が変われば、続けられそうな気がする
- パートや補助なら、保育に関わりたい気持ちはある
- 休日も仕事のことが頭から離れないが、園や働き方が変われば楽になりそうな気がする
- 書類や行事に追われて、子どもと向き合う余裕がない
こちらが多く当てはまるなら、一度立ち止まって考える時期かもしれません。
- 子どもと関わる時間そのものが苦痛に感じる
- 保育の仕事を覚えようという気力がわかない
- 子どもの成長を見ても、何も感じなくなっている
- どの園で働いても、同じようにつらいと感じると思う
どちらが多いかによって、「向いてない」という感覚の中身が変わってきます。
向いてないと決めつけなくていいケース
「保育士に向いてない人」と言葉にすると、少し怖く感じるかもしれません。でも私は、ひとつの特徴だけで向いてないと決める必要はないと思っています。
以下のような状況が原因でつらいなら、それは保育士としての適性とは別の話です。
- 子どもは好きだけど、職場の人間関係で消耗している
- 正社員の責任の重さや仕事量が、今の体力と合っていない
- 書類・行事・残業に追われて、保育そのものを楽しむ余裕がない
- 園の方針が自分の保育観とずれている
- 経験不足で自信がないだけで、時間が解決する部分がある
- 体調不良や強いストレスで、今は判断力が落ちている
このどれかに当てはまるなら、「保育士を辞めるべきか」よりも先に、「今の状況をどう変えるか」を考える方が先です。
ストレスが積み重なって「向いてない」という気持ちになっている場合は、保育士のストレスが限界になるときのサインと対処法も読んでみてください。
本当に保育士に向いてないかもしれないケース
ここまで「向いてないと決めつけなくていい」という話を書いてきました。でも正直に言うと、一度立ち止まって考えた方がいい状態もあります。
ここに当てはまるからといって、すぐに「保育士失格」という意味ではありません。ただ、今のまま無理に続けるより、一度保育から距離を置く選択を考えていい状態です。
子どもと関わる時間そのものが苦痛になっている
子どもが泣いているのを見ても、以前のように関わろうという気持ちが起きない。子どもと向き合う時間が、ただ早く終わってほしいと感じる。こういう状態が続いているなら、心がかなり消耗しているサインです。
「子どもが苦手になった」ではなく、「疲弊しきって何も感じなくなっている」可能性が高い。まず休むことを優先してください。
命を預かる責任に強い負担を感じ続けている
保育士は子どもの命を預かる仕事です。その責任感は大切ですが、常に「何かあったらどうしよう」という恐怖が消えず、毎日緊張状態が続いているなら、心への負担は想像以上に大きくなっています。
責任感が強いから保育士に向いていない、ということではありません。ただ、その重さを誰にも相談できないまま抱えているなら、環境を変えることで楽になる部分があります。
保育の仕事を覚えたい気持ちがなくなっている
新しいことを学ぼうという気力がわかない。子どもへの関わり方を工夫しようという意欲が出てこない。この状態は、能力の問題ではなく、エネルギーが底をついているサインです。
以前はあった「うまくなりたい」という気持ちが完全に消えているなら、一度休んで充電する時間が必要かもしれません。
どの園でも同じようにつらいと感じそうな場合
「今の園が合わないだけ」という感覚がなく、保育の現場そのものが自分には向いていないと感じている。転職しても同じだと思う。そういう感覚が続いているなら、保育士以外の働き方を視野に入れることも選択肢です。
保育士の資格や経験は、保育の現場以外でも活かせる場所があります。無理に今の仕事を続けることだけが正解ではありません。
それでも、保育士に向いている可能性がある人
「向いてないかもしれない」と感じながら読んでいるあなたへ。こういう気持ちが少しでも残っているなら、向いている可能性はまだあります。
- うまくできなくても、子どものことを考え続けている
- 失敗したあとに「次はどうしよう」と考えられる
- 子どもの小さな成長をうれしいと思える瞬間がある
- 保育士はつらいけれど、子どもと関わる仕事自体は嫌いではない
「向いてない」と感じることと、「向いていない人である」ことは別です。悩んでいること自体が、この仕事に真剣に向き合っている証拠でもあります。
13年続けても、今でも向いてないと思う瞬間はある
正直に書きます。13年たった今でも、自己嫌悪になることはあります。
お局先輩に「楽しくないならやめれば」と言われた話
保育士2年目の頃、先輩に言われた言葉があります。
「笑顔が嘘くさい。楽しくないならこの仕事やめれば?」
今でも鮮明に覚えています。
言われた瞬間、反論できませんでした。自覚があったからです。当時の私は、職場の雰囲気に合わせて笑顔を作っていた。子どもに向けた笑顔ではなく、その場をやり過ごすための笑顔でした。
でも今思うと、作り笑顔になっていた原因は「向いてない」ではなく、余裕がなかったことでした。2年目で仕事量が増え、人間関係にも気を遣い、自分のことを後回しにしていた。そういう状態では、誰でも笑顔が不自然になります。
あの言葉は、保育士に向いてないサインではなく、私が無理をしていたサインだったのかもしれません。
特性のある子にイライラしてしまう自分
今でも、個性が強い子や特性のある子に対して、うまく関われないと感じることがあります。
他の先生がその子を笑顔にしているのを見て、経験年数があるのにできない自分が恥ずかしくなる。イライラしたことへの自己嫌悪も続く。
これは10年以上経っても、完全になくなることはありませんでした。
ただ、そのたびに「向いてない」で終わりにするのではなく、「なぜイライラしているのか」を少し考えるようになりました。疲れているのか、その子の行動の背景が読めていないのか。原因がわかると、対処の仕方が変わります。どうしても無理なときは、別の保育士に代わってもらう。それも立派な選択です。
4〜5年目でようやく保育が楽しいと思えた理由
4〜5年目あたりから、保育の中で「あ、これが楽しいんだな」と思える場面が増えてきました。
子どもの気持ちの動きが少しずつ読めるようになった。保護者との関係の築き方がわかってきた。苦手な先生の懐への入り方も、経験の中で身についてきた。
できないことがひとつ減るたびに、保育が少しずつ楽しくなっていった感覚がありました。向いてないと感じながらでも続けてきたから、今この仕事が結局一番楽しいと思えています。
それでも保育士を辞めた方がいいサイン
ここまで、保育士としての向き不向きについて書いてきました。ただ、向いている・向いていないを考える前に、今すぐその環境から離れた方がいい状態もあります。
以下に当てはまるなら、環境を変えることを本気で考えてください。
体や心に不調が出ている。 朝起きると涙が出る、動悸がする、職場のことを考えるだけで吐き気がする。これは「向いてない」の問題ではなく、体が「もう無理」と言っているサインです。
子どもに優しくしたいのにできない日が続いている。 いつもと違う自分が出てきたとき、それは限界のサインです。
職場に相談できる人が誰もいない。 孤立した状態で消耗し続けると、判断力が落ちていきます。
「二度とやりたくない」という気持ちが続いている。 「保育士なんて二度とやりたくない」と思うほど追い込まれているときは、冷静な判断ができない状態かもしれません。その気持ちが一時的な疲れなのか、本当に保育から離れたいサインなのかを考える前に、まずは休むことを優先してください。
辞めることは逃げではありません。保育士を続けるために、今の園を離れる選択があります。
やれることをやって、それでもダメなら環境を変えていい
まず試してみてほしいこと
子どもにイライラしたとき、少し間を置いてその子の背景を想像してみる。その子の行動だけを見るとイライラしてしまうことがあります。でも、「眠いのかな」「言葉で伝えられなくて困っているのかな」と背景を考えると、少しだけ見方が変わることがあります。どうしても無理なときは、別の保育士に代わってもらう。それも立派な対処法です。
今の園の中で、まだ変えられることがないか見直してみる。関わり方を少し変えるだけで、気持ちが楽になることもあります。
正社員以外の働き方も選択肢に入れる
「保育士は続けたいが、今の働き方がしんどい」という場合、パートや派遣という選択肢もあります。責任の範囲を変えるだけで、気持ちが楽になることがあります。
転職サイトは今すぐ辞める人だけのものではない
転職サイトへの登録は、転職を決めてからするものではありません。登録したからといって、すぐに転職を決める必要はありません。今の職場以外にどんな選択肢があるかを知るだけでも、「ここしかない」と思い込んでいた気持ちが少しゆるむことがあります。
一人で考えていると、「私は向いてない」としか思えなくなることがあります。でも、他の園の働き方や条件を知るだけで、「今の園が合わなかっただけかも」と気づけることもあります。
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よくある質問
保育士に向いてない人の特徴はありますか?
子どもと関わる時間そのものが苦痛、保育を学びたい気持ちがない、どの園でも同じようにつらいと感じる場合は、一度立ち止まって考えてもいい状態です。ただし、ひとつ当てはまるだけで向いてないと決める必要はありません。
子どもにイライラする保育士は向いてないですか?
イライラすること自体は、向いてない証拠ではありません。疲れや人手不足、職場環境の影響で余裕がなくなっている場合もあります。大切なのは、イライラしたあとに自分を責めるだけで終わらせず、原因を整理することです。
保育士に向いてないと言われたら辞めるべきですか?
誰かに向いてないと言われたからといって、すぐに辞める必要はありません。その言葉が本当に自分の適性を表しているのか、相手の感情や職場環境の問題なのかを分けて考えてください。
まとめ:向いてないと思っても、保育士失格ではない
向いてないと思う日があっても、それだけで保育士失格にはなりません。
私自身、13年経った今でも「向いてないかも」と思う瞬間はあります。でも同時に、子どもの笑顔を引き出せたとき、保護者に感謝されたとき、「この仕事が一番楽しい」と思う瞬間も確かにあります。
子どもが好きという気持ちだけで、すべてを乗り越えられるわけではありません。でも、その気持ちが少しでも残っているなら、保育士を続ける形を変えることはできます。
やれることを全部やって、それでも苦しいなら、環境を変える。それは逃げではなく、自分を守りながら保育と関わり続けるための選択肢です。

