保育士のいじめがつらいときの対処法|原因・辞める目安を解説

保育士のいじめ、対処法と辞める目安を解説する記事のアイキャッチ

「これっていじめなのかな」「私が気にしすぎなのかな」そう思いながら検索しているなら、その違和感をなかったことにしなくていいです。

挨拶を返してもらえない。自分だけきつく言われる。ミスを何度も責められる。子どもの前では笑顔でいなければいけないのに、職員室に戻ると空気が重い。

そんな毎日が続くと、少しずつ心がすり減っていきます。

先に結論を書きます。いじめは、我慢し続ける必要はありません。まず自分を責めるのをやめて、記録を残し、誰かに話すところから始められます。

私は保育士として13年ほど働き、複数の園を経験してきました。保育室で正座をさせられて泣いたこともありますが、当時はそれを「いじめ」だと思っていませんでした。

この記事では、いじめを受けたときの対処法から、指導との見分け方、辞める目安までを順番に整理します。

いじめられる側が悪いわけではありません。

なお、この記事に出てくるエピソードはすべて私自身の体験です。心身の状態や園の対応は人によって異なります。

目次

保育士がいじめられたときの対処法

いじめへの対処は、「自分を責めない」「記録を残す」「相談する」「限界になる前に離れる」の順で進めます。

保育士がいじめられたときの対処法4ステップ。①自分を責めない(指導といじめは違う)②記録を残す(いつ・どこで・誰から・何をされたか)③相談する(園内が難しければ外部へ)④限界の前に離れる(我慢し続けなくていい)

証拠が揃っていなくても、今日から始められることがあります。

まず「自分が悪い」と思い込まない

いじめを受けていると、「私の言い方が悪かったのかな」「もっと仕事ができれば言われなかったのかな」と考えてしまうことがあります。

でも、指導といじめは違います。仕事上の注意が必要な場面はあっても、無視したり、人格を否定したり、人前で追い詰めたりしていい理由にはなりません。

まずは「自分が全部悪いわけではない」と、いったん立ち止まってみてください。ここが動けるようになる入口です。

日時・言動を記録し、信頼できる人に話す

対処で最初にやっておきたいのが、記録を残すことです。「いつ・どこで・誰から・何をされたか・誰が見ていたか」をメモしておくと、後から相談するときに状況が伝わりやすくなります。スマホのメモでも手帳でも構いません。

きれいにまとめる必要はありません。箇条書きでも、日付が多少あいまいでも大丈夫です。

そのうえで、話せる人に話してみてください。職場の中に信頼できる人がいれば、その人に。取り巻きに見える人の中にも、実は優しくしてくれる人がいることがあります。

職場内に話せる人がいない場合は、家族や友人でも構いません。声に出すことで、自分の状況が客観的に見えやすくなります。

職場で解決しないなら外部へ相談する

保育士がいじめを相談する先の選び方。園の中に加害者を通さずに話せる人がいれば園長・主任・法人本部へ、いなければ外部の相談窓口へ。相談しても動いてもらえないときも外部の窓口を使えます

園長や主任に伝えても動いてもらえない場合や、そもそも園内に言える相手がいない場合は、外部の窓口を使う方法があります。

厚生労働省の総合労働相談コーナーでは、いじめ・嫌がらせ・パワハラなどについて無料で相談できます。匿名で使える窓口もあります。

どの窓口が自分の状況に合うかは、無料で使えるパワハラ相談窓口の選び方で状況別に整理しています。

限界になる前に職場から離れる

相談しても状況が変わらない。心や体がすでにサインを出している。そういう段階になったら、職場を離れることも対処のひとつです。

消耗しながら我慢し続けることが正解ではありません。

辞める目安や退職の進め方は、この記事の後半(いじめで辞めたいとき|即日退職はできる?)でまとめています。

これはいじめ?よくあるパターンと判断軸

人前で何度も責められる、無視して仲間外れにされる、自分だけ明らかに扱いが違う。目的が「仕事を良くすること」になっていないなら、それは指導ではありません。

保育士の職場でのいじめは、表面上は見えにくいかたちで起きることが多いです。「自分が弱いだけなのかな」と思いながら、長い間気づけないこともあります。

職場でよく起きるいじめのパターン

保育の現場では、次のような形で起きることが多いです。

陰口・悪口を言われる

本人のいないところで仕事ぶりや言動を悪く言う。少しずつ周りに広めていくかたちで進むことが多く、気づいたときには職場全体の空気が変わっていることがあります。

無視される・会話から外される

挨拶を返してもらえない。会話に入ろうとすると嫌な顔をされる。自分だけ連絡が届かない。業務に必要な情報が意図的に届かなくなると、仕事そのものにも支障が出てきます。

仕事を押し付けられる

面倒な作業や残業が必要な仕事が、特定の人に集中して割り振られる。パートや新人など、立場が弱い人ほど起きやすいです。

ミスへのダメ出しが終わらない

改善しても次々と新しいダメ出しが続く。人前で長時間責め続けられる。同じミスをしても人によって対応が明らかに違う。こうした状況は、指導の範囲を超えています。

新人いびりのような扱いを受ける

入ったばかりの先生が、特定の先輩から強く当たられる。「なんでこんなこともできないの」という言い方が繰り返される。新人は立場が弱く言い返しにくいため、こうした状況に置かれやすいです。

直接は言われず、裏から伝わってくる

本人には何も言ってこないのに、別の職員や上の先生に伝わっていて、後から違うルートで返ってくる。表向きは普通に接してくるため、何が起きているのか本人にも分かりません。証拠も残らず、周りにも説明しづらいので、気づかないうちに立場が悪くなっていることがあります。

指導といじめを分ける判断軸

保育士の指導といじめの見分け方の比較表。指導は必要な場で仕事の話をし、改善すれば終わり、誰にも同じ扱いで質問もできる。いじめは人前で何度も人格を否定し、改善後も責め続け、自分だけ扱いが違い、怖くて質問できない。指導の目的は仕事を良くすること

「厳しい指導なのか、いじめなのか」と迷うことがあります。判断の目安になるポイントです。

  • 人前で何度も、または長時間責められる
  • 改善しても別のことを責められる繰り返しが続く
  • 仕事とは関係ない、人格を否定するような言い方をされる
  • 自分だけ明らかに扱いが違う
  • 怖くて質問できない状態になっている

指導の目的は「仕事を良くすること」です。それが目的になっていないと感じる状況なら、指導ではありません。

子どもの前では笑顔でいなければいけない。でも職員室に戻ると、また空気が重い。その切り替えだけでも、心はじわじわとすり減っていきます。これは保育士の職場特有のしんどさです。

いじめとパワハラの違い

「いじめ」は、悪口・無視・仲間外れなどを含む広い言葉です。同僚同士の横の関係でも起きます。

「パワハラ」は、簡単に言うと、先輩・主任・園長などの立場を利用して、仕事に必要な範囲を超えて相手を追い詰める行為です。厚生労働省も、優越的な関係を背景にした言動などをパワハラの要素として示しています。

つまり、同僚同士で起きるものはいじめと呼ばれることが多く、園長・主任・先輩など立場や影響力が強い人からの行為は、パワハラにあたる可能性があります。

どちらも「自分が悪いから」ではありません。ただ、パワハラにあたる場合は、法律にもとづいた相談先が明確にあります。

保育士時代にいじめと気づけなかった体験

私自身、いじめを受けている最中は、それがいじめだと気づけませんでした。おかしいと感じたときには、すでに心が削られていました。

保育士の職場で起きるいじめの2つのタイプ。見えるいじめは怒鳴る・人前で責めるなど状況が分かりやすい。見えにくいいじめは本人には言わず裏から伝えるため、状況をつかみにくい

少し、私自身のことを書きます。

正座させられても「いじめ」と気づかなかった

保育士として働いていた頃、朝から保育室で正座をさせられ、泣かされたことがあります。子どもの前でです。設定保育のために準備していた玩具を蹴られて壊されたこともあります。指摘したときの私の顔が気に入らなかったらしい、と後で聞きました。

でも当時の私は、それをいじめとは思っていませんでした。

「自分が何か悪いことをしたから」「保育士ってこういうものなのかな」と、なんとなく受け止めていました。

今振り返ると、あれは指導ではありませんでした。そういう人たちに共通していたのは、「私に逆らったらどうなるか分からせたい」という空気でした。仕事を良くするためではなく、相手を支配しようとしていた。今はそう感じます。

「これっていじめなのかな」と感じる時点で、すでに心が傷ついています。その感覚を、なかったことにしないでほしいです。

お局と取り巻きの構図――外から見えたこと

1年目として保育園で働いていた頃、同期がターゲットにされている状況を外から見ていたことがあります。

お局と呼ばれる先生がいて、気に入らない先生の陰口を言い、あからさまに厳しく当たり、少しずつ周りを味方につけていく。ターゲットになった先生が会話に入ろうとすると、空気が変わるのがわかりました。みんな同じタイミングで笑おうとした瞬間に「え?なんで会話に入ってるの?」という顔をされる。そういう場面を、何度も見ました。

そのとき、取り巻きの中に優しい先輩がいました。お局には逆らえないけれど、話は聞いてくれる人でした。ある日、私たちを内緒でごはんに連れて行ってくれて、こっそり教えてくれました。

「提出物は必ず期限を守る。時間があるときは率先して手伝えることを聞く。挨拶はいつも笑顔で。何を言われても、全部まともに受け止めなくていい。人の悪口を言って自分を保っているかわいそうな人だから」と。

もちろん、誰でも平気なふりができるわけではありません。無理に強く見せる必要もありません。ただ、「これは私の価値とは関係ない」と切り離して考えることが、自分を守るひとつの方法になることがあります。

保育の職場にも、そういう優しい人がいます。

怒鳴る人より怖かった、直接言ってこない人

3年目の頃、怒鳴ってくるお局とは別に、もうひとり苦手な先生がいました。当時のクラスリーダーです。

その人は、私に直接何も言いませんでした。

休憩中、手が空いていたので、保育室の準備を自分の判断で少し進めたことがありました。悪いことをしたつもりはありませんでした。でも、リーダーの許可を取っていなかったということで、その話がお局に伝わっていました。

翌日、私はお局から怒鳴られました。リーダーはその場にいましたが、何も言いませんでした。私と目も合いませんでした。

行事の係に選ばれたときも、同じことがありました。あとから聞いたのですが、私には務まらないという話を上の先生に伝えたのは、その人でした。私は係を外されました。

怒鳴られるのは、つらいけれど分かりやすいです。何が起きているか見えます。

でも、直接言ってこない人は、何が起きているのか分かりません。表向きは普通に接してくるので、こちらの受け止め方がおかしいのかと思ってしまいます。私は、怒鳴ってくる人よりも、この人のほうが怖かったです。

いちばんきつかったのは、相談しても伝わらなかったことでした。

あのとき私たちをごはんに連れて行ってくれた先輩にも話しました。でも「そんなに悪い人かなぁ」という反応で、私だけが騒いでいるような形になってしまいました。行為が見えないので、説明しようとするほど、こちらが感情的に見えてしまいます。

それから数年経って、その先輩から「あなたが言っていたことが、やっと分かった」と言われました。

そのときにようやく、自分の感じていたことは間違っていなかったと思えました。

相談して信じてもらえないことは、あります。そのときも、あなたの感じている違和感が間違っているわけではありません。伝わらなかったのは、相手のやり方が見えにくいからです。

保育士の職場でいじめが起きる原因

いじめが起きる原因は、人手不足や閉鎖的な人間関係、放置する管理職といった職場の構造にあります。ターゲットになった人の側にあるわけではありません。

背景は、大きく4つに分かれます。

保育士の職場でいじめが起きる4つの原因。人手不足で業務量が多く感情の余裕がなくなる、同じメンバーで固定化し派閥ができる、好かれている人が嫉妬の対象になる、管理職が動かないと状況が変わらない。原因は職場の構造にある

なぜ、子どもを育てる仕事をしている人たちの間でいじめが起きるのか。背景を整理します。

人手不足と余裕のなさ

保育士の職場は、慢性的な人手不足の状態が続いています。ひとりあたりの業務量が多く、精神的にも体力的にも追い詰められやすい環境です。

余裕がなくなると、感情のコントロールが難しくなります。人手不足や忙しさが続く職場では、弱い立場の人にストレスが向かいやすくなることがあります。

もちろん、余裕がないからといって、誰かを傷つけていい理由にはなりません。

閉鎖的な人間関係と派閥

保育園という職場は、同じメンバーで長い時間を過ごすことが多いです。小規模な園では人間関係が固定化しやすく、お局と取り巻きという構図ができると、その構造が何年も続くことがあります。

取り巻きの中に「本当はそんなことしたくない」と思っている人がいても、逆らえない雰囲気ができあがってしまいます。そういう園では、良い先生ほど先に疲れて辞めてしまうこともあります。

嫉妬・保育観の違い・管理職の放置

子どもや保護者から好かれている、仕事ができる、明るくて目立つ。そういった理由から嫉妬の対象になることがあります。また、保育の方針や子どもへの関わり方の考え方の違いが、攻撃の言い分になるケースもあります。

そして問題が続くのは、多くの場合、園長や主任が見て見ぬふりをしているからです。上が動かなければ、現場の状況は変わりません。声を上げた側が、さらに不利な立場になることさえあります。

ターゲットにされやすい状況と本当の問題

傾向があっても、いじめる側の責任は変わりません。ここは、原因が誰にあるかという話ではなく、どういう状況で起きやすいかという話です。

保育士がいじめのターゲットにされやすい状況。入ったばかりで園のやり方が分からない、パートや非正規で契約を気にせざるを得ない、相談できる先輩がまだいない。選ばれているのは立場であり、その人の価値とは関係ありません

いじめが起きやすいのは、立場の差が大きく、言い返しにくい状況です。入ったばかりで園のやり方が分からない。パートや非正規で契約を気にせざるを得ない。相談できる先輩がまだいない。そういう状況に置かれた人が、標的にされやすくなります。

つまり、いじめをする側が「言い返さなそうな立場の人」を選んでいるだけです。

新人だから、パートだから、おとなしいから。それはいじめる理由にはなりません。ターゲットになったことで、あなたの価値は何も変わりません。本当の問題は、いじめをする人と、それを放置する職場の側にあります。

いじめとまではっきり言えなくても、職場の人との関わり自体に疲れているなら、保育士の人間関係に疲れたときの考え方と距離の取り方も参考になります。

いじめで辞めたいとき|即日退職はできる?

期間の定めがない雇用なら、民法上は申し出から2週間で退職できるとされています。心や体にサインが出ているなら、それが辞めることを考えていい目安です。

保育士がいじめで辞めることを考えていいサイン。職場の状況は、相談しても変わらない、園長が加害者で相談できない。自分の状態は、眠れない・食欲がない、出勤前に動けない、子どもの前で笑うのがつらい

退職のルールと辞める目安

正社員など期間の定めがない雇用の場合、民法上は原則として、退職の申し出から2週間で退職できるとされています。ただし、契約期間がある働き方や、園の就業規則によって確認が必要な場合もあります。

とはいえ、心身が限界に近い状況で、無理に出勤し続ける必要はありません。有給休暇の取得、休職、診断書の取得なども選択肢として存在します。

辞めるかどうか迷っているときは、次のような状態が目安になります。

  • 園長や主任に相談したのに、状況が変わらなかった
  • 園長本人が加害者で、園の中に相談できる人がいない
  • 眠れない、食欲がない、朝になると涙が出るなど、体に変化が出ている
  • 出勤前に動けなくなる日が増えている
  • 子どもの前で笑うことがつらくなってきた

心身のサインについては、限界が近いときに出るサインと休み方でも詳しく整理しています。

退職代行という方法もある

「退職を言い出すのが怖い」「園に連絡すること自体がつらい」という状況であれば、退職代行サービスを使う方法もあります。

退職代行とは、労働者に代わって退職の意思を伝え、手続きを進めてくれるサービスです。

仕組みと使うときの注意点は、退職代行を使うという選択と実際に使った体験にまとめています。

いじめが少ない職場の選び方

いじめが起きにくい園には共通点があります。求人票だけでは分かりませんが、見学と面接で確認できます。

今の職場を離れることを考えたとき、「また同じような環境だったら」という不安があります。人間関係が荒れにくい職場には、いくつか共通点があります。

いじめが少ない保育園の見分け方。職員の入れ替わりは求人票、先生同士の雰囲気と若い先生の様子は見学、人間関係での退職とパート・新人へのフォロー体制は面接で確認できる

転職前に確認したいポイント

  • 職員の入れ替わりが少ない(長く働いている人が多い)
  • 先生同士の会話に自然な笑いがある
  • 若い先生が萎縮せず働いている
  • 面接で「人間関係で退職する人は多いですか」と聞いたとき、きちんと答えてくれる
  • パートや新人へのフォロー体制が整っている

求人票・見学・面接での具体的なチェック項目は、ブラック保育園の特徴と見抜き方で確認できます。

転職を考えたときに使えるサービス

いじめのある環境から離れたいと思ったとき、一人で求人を探すのはエネルギーが必要です。転職サービスのアドバイザーに相談しながら探すと、精神的な負担を減らすことができます。

どのサービスも登録・利用は無料なので、転職を決めていない段階でも相談しやすいです。

保育エイド

人間関係や職場環境を重視して転職先を探したいときに相談しやすいサービスです。コーディネーターが実際に保育園へ足を運び、園の雰囲気を確認しています。LINEでのやり取りもできます。

登録・利用は無料で、登録後にコーディネーターから電話連絡があります。地域によっては紹介できる求人が少ない場合があります。

\人間関係を重視して転職先を探す/

ほいく畑

正社員だけでなく、派遣やパートなど幅広い働き方から相談できるサービスです。いじめで疲れ切っているときは、いきなり正社員での転職より、少し負担を減らした働き方を選ぶ方法もあります。求人は関東・関西・東海・中国・九州が中心です。

\派遣・パートの働き方も相談できる/

レバウェル保育士

担当のアドバイザーが自分で求人を開拓しているため、職場の雰囲気や人間関係についても聞けます。LINEでも相談できます。

2026年8月時点で、対応しているのは次の15都道府県です。

北海道、宮城県、茨城県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、福岡県

正社員かパートを希望する人が対象です。

\職場の雰囲気を聞きながら探す/

ひとりで抱え込まず、今の職場以外にも選択肢があることを知っておくだけでも、気持ちが少し軽くなることがあります。

保育士のいじめでよくある質問

ここまでで触れなかった疑問をまとめます。

園長が見て見ぬふりをしている場合、相談する意味はありますか?

意味はあります。園を運営する事業主には、ハラスメントの相談に適切に対応するための体制を整える義務があります。中小規模の事業主も、2022年4月から対象です。

ただし、実際に動くかどうかは園によって差があります。相談しても対応されない場合は、その経緯もメモに残したうえで、外部の窓口に相談してください。「園に相談したが対応されなかった」という事実は、外部で状況を説明するときの材料になります。

いじめを訴えることはできますか?

状況によっては可能です。ただし、訴えるには時間も気力も必要で、つらかった出来事を何度も説明する場面があります。

すでに心身の消耗が強い場合は、無理に戦おうとせず、まず職場から離れることを優先してもいいと思います。どちらを選んでも、自分を守るための判断です。

証拠の残し方や法的な対応の相談先は、無料で使えるパワハラ相談窓口の選び方で整理しています。

パートや派遣の保育士でも、いじめの相談はできますか?

できます。雇用形態は関係ありません。

総合労働相談コーナーは、正社員だけでなくパート・派遣・アルバイトも対象です。派遣で働いている場合は、派遣元の会社にも相談できます。派遣先の園にも、ハラスメント防止のための措置を取る義務があります。

契約更新への影響が心配なときは、相談の最初に「園に知られたくない」という希望を伝えておくと安心です。

いじめが理由で辞めるとき、園に本当の理由を伝えるべきですか?

伝えなくてもかまいません。退職届の理由は「一身上の都合」で足ります。

伝えるかどうかは、園に改善してほしい気持ちがあるか、伝える気力が残っているかで決めて大丈夫です。伝えないと決めることも、自分を守る選択です。

切り出し方に迷うときは、退職を言い出しづらいときの伝え方を参考にしてください。

転職の面接で、いじめが原因の退職はどう説明すればいいですか?

前の園を責める形ではなく、次にどう働きたいかに置き換えて伝えると、印象が変わります。

たとえば「職員同士で情報を共有しながら保育を進めたいと考えるようになりました」のように、これからやりたいことを軸にする形です。嘘をつく必要はありません。

例文は、面接で退職理由を聞かれたときの答え方にまとめています。

まとめ:いじめられる側が悪いわけではない

保育士の職場でいじめが起きるのは、人手不足・閉鎖的な環境・放置する管理職など、職場の構造に原因があります。ターゲットになったことは、あなたの価値とは関係ありません。

私自身、正座させられて泣かされたり、玩具を蹴られたりしても、長い間「いじめ」と気づいていませんでした。「これって普通なのかな」「自分が弱いのかな」と思いながら、なんとなく受け止めていました。

今振り返ると、あれは指導ではありませんでした。

「これっていじめなのかな」と感じているなら、その感覚を大切にしてください。

ひとつだけ、あまり書かれないことを書いておきます。

いじめを受けているとき、私は相手のことを許せませんでした。訴えたいと思ったこともあります。なんで私が我慢して、あの人が普通に働いているんだろう、と思っていました。

この世からいなくなってほしい、と思った時期もありました。そう思ってしまう自分に、また落ち込みました。

その気持ちを、否定しなくていいと思います。ひどいことをされたのだから、そう思うのは自然なことです。

ただ、今の私は少し違うことを思っています。

あの人のことを考えていた時間は、全部、自分の人生の時間でした。どれだけ考えても、相手は変わりませんでした。変わったのは、私がその場から離れたときだけです。

どんなに頑張っても、合わない人はいます。相手を変えることに使う時間より、自分がどうしたら穏やかに働けるかを考える時間のほうが、あとから振り返ると自分に残ります。

今つらい人に「気にしないで」とは言えません。当時の私も、そう言われて余計につらくなりました。ただ、いつかその気持ちが薄れる日は来ます。そのとき、自分の幸せだけを考えていいのだと思います。

まずは「自分が悪い」と思い込まないこと。つらかった出来事を記録し、信頼できる人や外部窓口に相談すること。そして、変わらない環境なら離れること。どれも、自分を守るための行動です。

逃げるのではなく、壊れる前に離れる。それはひとつの正しい選択です。

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