「これってパワハラなのかな。でも、園に相談したら自分が話したと知られそうで怖い」
そんな不安を抱えながら、ひとりで我慢していませんか?
保育士がパワハラを無料で相談できる窓口は複数あり、目的によって合う相談先が変わります。

園に言いづらいときは、最初から外部の窓口に相談して大丈夫です。
この記事では、園長のパワハラで新卒1か月で退職した経験のある私が、状況別の相談先の選び方を早見表つきで解説します。
- パワハラかどうかを判断するときの3つのポイント
- 状況別に選べる相談先と、園長が加害者のときの相談先
- 無料で相談できる公的窓口5つと、それぞれの受付時間
- 相談する前に整理しておきたいことと、残しておける記録
保育士がパワハラを相談できる先
「これって私が悪いのかな」「相談するほどのことなのかな」と迷っている人も多いはずです。
保育士が無料で相談できる窓口はいくつかあり、状況によって選ぶ相談先が変わります。相談する順番に決まりはありません。
まずは、状況別の早見表で確認してください。
| こんなとき | 相談先 | 特徴 |
|---|---|---|
| まず気持ちや状況を整理したい | こころの耳 | 匿名・無料。電話・SNS・メールから選べます。電話は番号通知が必要です |
| 園内で対応してほしい | 園長・主任・法人本部・園の相談担当など、加害者を通さずに話せる相手 | 園を運営する事業主には、相談へ適切に対応するための体制を整える義務があります |
| 園に相談しづらく、外部に相談したい | 総合労働相談コーナー | 無料・予約不要。パワハラを含む幅広い労働問題を相談できます |
| 心身の不調が出ている | 心療内科・かかりつけ医/こころの耳 | 不調が出ているときは、窓口選びより受診や休養を優先してください |
| 法的な対応を検討したい | 法テラス/弁護士 | 法テラスでは法制度や相談先の案内を受けられます。無料法律相談には条件があります |

パワハラかどうか迷っている人は、次の図解で厚生労働省が示す3つの要素も確認してみてください。

まずは身近な信頼できる人に話す
身近な家族や友人、恋人でも構いません。まずは誰かに話を聞いてもらい、客観的な意見をもらいましょう。
長く被害を受けていると、つらい状況に慣れてしまい、自分では判断しにくくなることがあります。
「自分が我慢すればいい」と考えてきた人ほど、信頼できる人に話すことから始めてみてください。

同僚からの嫌がらせやいじめに悩んでいる場合は、同僚からの嫌がらせやいじめがつらいときの対処法も参考にしてください。
職場内で相談できるケース
加害者が同僚や先輩、主任なら、園長や法人本部に相談できる場合があります。
園を運営する事業主には、パワハラの相談に適切に対応するために必要な体制を整える義務があります。中小規模の事業主も、2022年4月から対象です。
私自身、職場の人との関わりに限界を感じ、主任を通して園長に相談したことがあります。
一番不安だったのは、相談したのが自分だと相手に知られることでした。そのため、自分の名前を相手に出さないでほしいと事前に何度も確認し、誰からの相談かを伏せたまま対応してもらいました。
これは、あくまで私の職場での経験です。対応は園や状況によって異なります。
ただ、相談したことを知られたくない場合は、話し始める前に、次の3つを確認しておくと安心です。

職場によって相談体制には差があります。加害者が園長本人の場合や、園内に安心して話せる相手がいない場合は、職場の中だけで解決しようとせず、外部の窓口を利用してください。
園長が加害者のときの相談先
園長本人が加害者なら、園の中だけで解決しようとしなくて大丈夫です。園長本人に直接伝えることが難しいときは、無理に向き合う必要はありません。
まず考えたいのは、園を運営している法人本部や、外部の相談窓口です。

私立園なら、学校法人や社会福祉法人、本部の事務局などへ相談できる場合があります。公立園なら、自治体の担当部署や労働相談窓口につなげられることがあります。
園に相談しても対応されない場合や、園への働きかけを希望する場合は、総合労働相談コーナーで状況を伝え、利用できる制度や次の相談先を確認できます。
相談内容によっては、労働局が園に対して助言や指導をしてくれることがあります。園との話し合いの場を設けてもらえることもあり、これを「あっせん」といいます。
すでに強い恐怖を感じていて、園の人と話すだけでも苦しいなら、最初から外部の窓口を使って大丈夫です。一人で抱えたまま、園長本人に向き合う必要はありません。
私も新卒のとき、園長から毎日怒鳴られていました。私の場合、園内で解決する道は実質ありませんでした。
そのときの経緯は、園長のパワハラで新卒1か月で辞めたときの体験談に書いています。
無料で相談できる公的窓口5つ
園に相談しづらいときは、外部の公的窓口を使えます。ここで紹介する5つは、すべて相談料が無料です。
保育士専門の窓口ではありませんが、職場のパワハラやいじめ、嫌がらせを相談できます。

匿名で相談できる窓口もあります。
「どこに電話すればいいのか分からない」というときは、まず総合労働相談コーナーかこころの耳を見てください。労働問題として扱いたいなら前者、気持ちを聞いてほしいなら後者が近いです。
なお、法テラスへの電話など、一部は通話料がかかります。

総合労働相談コーナー
総合労働相談コーナーでは、パワハラやいじめ・嫌がらせのほか、解雇、雇止め、配置転換、賃金の引下げなど、幅広い労働問題を相談できます。
専門の相談員が、面談または電話で対応します。無料・予約不要です。
必要に応じて、労働局からの助言・指導や、あっせんの案内も受けられます。ただし、利用できる制度は状況によって異なります。
プライバシーに配慮して対応されますが、匿名を希望する場合は、相談の最初に確認してください。

※2026年7月確認
こころの耳
こころの耳は、気持ちや状況を整理したいときや、心身のつらさを誰かに聞いてほしいときの窓口です。
職場への指導を求めるための窓口ではありませんが、匿名・無料で、電話・SNS・メールから相談方法を選べます。
電話:0120-565-455
- 平日:17時〜22時
- 土日:10時〜16時
- 祝日・振替休日・年末年始を除く
- 非通知の電話は受け付けていないため、番号通知が必要
SNS相談は、平日17時〜22時、土日10時〜16時です。
メール相談は24時間受け付けており、原則として1週間以内に返信されます。

※2026年7月確認
労働条件相談ほっとライン
労働条件相談ほっとラインは、労働条件に関する悩みを相談し、状況に合う専門窓口を案内してもらえる電話相談です。
園を直接指導する窓口ではありません。パワハラについては、専門の相談窓口を案内してもらう入口として利用できます。
労働基準監督署などが閉まっている平日夜間や、土日・祝日にも相談できます。無料で、匿名でも利用できます。
電話:0120-811-610
- 平日:17時〜22時
- 土日祝:9時〜21時
- 年末年始を除く

※2026年7月確認
みんなの人権110番
みんなの人権110番は、法務省が設けている人権問題の相談電話です。差別や虐待のほか、ハラスメントも相談できます。
電話をかけると、最寄りの法務局につながります。法務局の職員か人権擁護委員が話を聞きます。相談内容の秘密は守られます。
インターネットからの相談も受け付けています。日中に電話をかけにくい人は、そちらも使えます。
電話:0570-003-110
- 平日:8時30分〜17時15分
- 土日祝・年末年始を除く
- 自動音声のあと、相談内容に合う番号を選びます
- 相談料は無料ですが、通話料がかかります
- 一部のIP電話などからはつながらないことがあります
なお、以前あった「女性の人権ホットライン」は、2025年10月からこの窓口に統合されました。古い番号を案内しているページもあるので、注意してください。

※2026年8月確認
法テラス
法テラス・サポートダイヤルでは、法制度や、状況に合う相談窓口の案内を受けられます。
その場で弁護士が個別の法律相談や法的判断をする窓口ではありません。
弁護士・司法書士との無料法律相談は、収入や資産が一定の基準以下であるなど、利用条件があります。
電話:0570-078374
- 平日:9時〜21時
- 土曜:9時〜17時
- 祝日・年末年始を除く
- 案内の利用料は無料ですが、通話料がかかります

※2026年7月確認
なお、お住まいの自治体が、保育士向けの相談窓口を独自に設けている場合があります。
見つけたいときは、次のように検索してみてください。
- 「自治体名 保育士 相談窓口」
- 「自治体名 保育士 ハラスメント」
自治体によって窓口の有無や名称は違うため、両方の言葉で調べると見つかりやすくなります。
このほか、深夜など、今すぐ誰かに話を聞いてほしいときは、24時間対応のよりそいホットラインも使えます。全国から利用でき、通話料は無料です。
電話:0120-279-338
※2026年7月確認
相談する前に整理しておきたいこと
相談の前に、いつ・どこで・何を言われたかを簡単にメモしておくと、窓口で話しやすくなります。
証拠が揃っていなくても相談はできます。きれいにまとめる必要もありません。

相談したいと思っても、気持ちが限界に近いと、何から話せばいいのか分からなくなることがあります。
実際、私もつらさが大きくなるほど、頭の中が整理できなくなりました。だからこそ、相談する前に最低限のことだけでもメモしておくと動きやすくなります。
たとえば、次の内容を残しておきましょう。
- 誰から、どのような言動を受けたのか
- いつ、どこで起きたのか
- 何回くらい続いているのか
- LINEやメール、録音、メモなど残っているものはあるか
- 体調の変化や通院の有無
- 相談したあと、どうしてほしいのか
箇条書きでも、時系列が多少バラバラでも大丈夫です。
相談するときは、「起きた事実」と「自分が希望していること」を分けて伝えると、相談員にも状況が伝わりやすくなります。
たとえば、
- まず話を聞いてほしい
- 園にはまだ知られたくない
- 園に対応してほしい
- 法的な対応ができるか知りたい
- 今の職場から離れたい
などです。
記録は1種類にこだわる必要はありません。

日時と発言内容のメモ、指示が残っているメールやLINE、シフト表、録音など、残せるものを組み合わせておくと、あとから説明しやすくなります。
「これは本当にパワハラなのかな」と迷っている段階でも、相談して問題ありません。
自分でパワハラかどうかを決めてから動くのではなく、迷っている時点で外部の意見を聞いて大丈夫です。
心や体にサインが出ているときは、記録より先に休むことを考えてください。保育士のストレスが限界に近いサインと対処法も参考になります。
パワハラを訴えたいときの相談先と証拠
法的な対応を検討している場合は、法テラスで利用できる制度や相談先の案内を受けるか、弁護士へ直接相談する方法があります。
法テラスの案内は無料ですが、弁護士との無料法律相談には、収入や資産などの条件があります。
つらく苦しい思いを強いられてきたなら、相手にも責任を取ってほしいと思うのは自然なことです。
訴えることを考える場合は、できる範囲で証拠を残しておきましょう。

ボイスレコーダーなどの録音は、証拠の1つになり得ます。
ただし、録音だけで必ずパワハラが認められるとは限りません。録音の内容や前後の状況によって、評価は変わります。

日時や状況が分かるメモ、メール、シフト表なども一緒に残し、録音の元データは編集せずに保存しておいてください。
法的な有効性を確認したい場合は、法テラスで相談先の案内を受けるか、弁護士へ相談しましょう。
一方で、訴えるには時間も気力も必要です。つらかった出来事を、何度も思い出さなければならない場面もあります。
すでに心身の消耗が強いなら、無理に戦おうとせず、まずは職場から離れることを優先してもいいと思います。
保育士のパワハラ相談でよくある質問
相談の前によく聞かれることをまとめました。
園長や主任からのパワハラはどこに相談すればいいですか?
主任や先輩が加害者なら、園長や法人本部へ相談できる場合があります。
園長本人が加害者の場合や、園内に安心して話せる相手がいない場合は、最初から総合労働相談コーナーなど外部の窓口を利用して大丈夫です。
匿名でパワハラの相談はできますか?
匿名で利用できる窓口があります。
こころの耳と労働条件相談ほっとラインは、匿名で相談できます。ただし、こころの耳の電話相談は非通知では利用できないため、電話番号の通知が必要です。
総合労働相談コーナーで匿名を希望する場合は、相談を始める前に確認してください。
園長の叱責は指導でしょうか、パワハラでしょうか
厚生労働省は、職場のパワハラを次の3つをすべて満たすものと定めています。
- 優越的な関係を背景とした言動であること
- 業務上必要かつ相当な範囲を超えていること
- 働く人の就業環境が害されること
3つのうち1つだけ当てはまる状態は、パワハラとは限りません。反対に、業務上必要で、内容も程度も適切な指示や指導は、パワハラには当たらないとされています。
とはいえ、これを自分ひとりで判断するのは難しいものです。判断がつかない段階でも相談できるので、迷っているなら窓口で話してみてください。
証拠がなくても相談できますか?
証拠がなくても相談できます。最初の相談では、覚えている範囲で状況を話せば大丈夫です。
ただし、園への働きかけや法的な対応を希望する場合は、記録が判断材料になります。
いつ・どこで・何を言われたかを、今日からでもメモに残しておきましょう。
ボイスレコーダーの録音は証拠になりますか?
録音は、証拠の1つになり得ます。
ただし、録音だけで必ずパワハラが認められるとは限りません。
日時や前後の状況が分かるメモ、メール、シフト表なども一緒に残し、録音の元データは編集せず保存してください。
法的な有効性を確認したい場合は、法テラスで相談先の案内を受けるか、弁護士へ相談しましょう。
相談したことが園に知られることはありますか?
相談窓口で話を聞いてもらう段階と、園への助言・指導やあっせんなどを申し出る段階は別です。
園への働きかけを伴う手続きに進む場合は、園側へ連絡される可能性があります。
職場に知られたくない場合は、相談の最初にその希望を伝え、どの段階で園への連絡が必要になるのか確認してください。
まとめ:限界になる前に相談先だけでも確認しておく
限界まで我慢する必要はありません。相談先を知っておくだけでも、「いざとなれば逃げ道がある」という安心につながります。
ここまで読んで、「自分のケースが本当にパワハラなのか、まだ判断しきれない」と感じている人もいると思います。
そんなときは、一人で結論を出そうとせず、まずは相談先だけでも確認しておいてください。
- 身近な信頼できる人
- 職場内で加害者を通さずに話せる人
- 職場外の公的窓口
- 法律の相談先
このような選択肢を知っておくだけでも、動きやすくなります。
相談は「戦うこと」ではありません。状況を整理して、自分を守る選択肢を増やすことです。
相談しても状況が変わらず、この園で続けるのが難しいと感じたら、離れるのも自分を守る選択肢の1つです。
ハラスメントが放置される園には、ほかにも共通する特徴があります。今の園の状況を整理したいときは、ブラック保育園の特徴と見抜き方で確認できます。
保育園・幼稚園・こども園は、一つではありません。
辞めたい気持ちがあるのに言い出せないときは、保育士が退職を言い出しにくいときの伝え方を参考にしてください。
心身の限界で退職手続きを進める余力がないときは、心身の限界で退職手続きを進められないときの選択肢もあります。
今すぐ転職する必要はありません。

ただ、人間関係のよい園がどんな環境なのかを知っておくだけでも、「今の園だけがすべてではない」と思えるようになります。
求人票からは、職員同士の雰囲気までは読み取れません。園の情報を集めたいときは、担当者に希望を伝えて求人を紹介してもらう方法もあります。
【レバウェル保育士】:保育士向けの無料の転職支援サービスです。担当のアドバイザーが自分で求人を開拓しているため、職場の雰囲気や人間関係についても聞けます。LINEでも相談できます2026年8月時点で、対応しているのは次の15都道府県です。
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