「今日も、あの先生の機嫌をとらなきゃいけないのかな」
「子どものことをたくさん考えたいのに、頭の中は職員同士のことでいっぱい」
そう思いながら、今日も出勤していませんか。
保育の仕事が嫌いなわけではないのに、職場に行くのがつらい。私も同じでした。
保育士歴13年のはなです。後輩の立場でもリーダーの立場でも、人間関係で悩みました。嫌味を言われ続けた時期もあります。
ただ、13年のあいだに見てきたのは、しんどい関係だけではありませんでした。一緒に働いていて気持ちが軽くなる人も、確かにいました。
- 保育士の人間関係がつらくなりやすい理由
- 私が実際に経験した3つの場面
- やってみて楽になった関わり方
- 疲れたときに取れる選択肢
- 一緒に働きやすかった人の特徴
保育士の人間関係がつらくなりやすい理由
保育士の人間関係がつらくなりやすいのは、性格や相性の問題だけではありません。毎日同じ人と近い距離で連携し続けるという、仕事の形そのものに理由があります。
東京都の「令和4年度東京都保育士実態調査」では、現在保育士として働き、以前にも別の職場で働いた経験がある4,110人に退職理由を尋ねたところ、「職場の人間関係」が38.1%で最も多い結果でした。
| 以前の職場を辞めた理由 | 割合 |
|---|---|
| 職場の人間関係 | 38.1% |
| 仕事量が多い | 25.2% |
| 労働時間が長い | 20.9% |
| 給料が安い | 20.6% |
出典:東京都福祉局「令和4年度東京都保育士実態調査」調査結果の詳細 p.64(複数回答・n=4,110)
この調査では、職場の人間関係が最も多く、2位より約13ポイント高い結果でした。しんどいと感じているのは、あなただけではありません。

毎日同じ人と連携する
保育は、一人で完結する仕事ではありません。
あの子が今日どう過ごしたか、誰がどこに立つか、この後どう動くか。同じクラスでは、勤務中に何度も連携する必要があります。気の合わない相手でも、子どもの情報共有や役割分担は避けられません。

子どもの前では、職員同士のぎくしゃくした空気をそのまま出すわけにもいきません。気持ちを切り替えて保育を続けるうちに、退勤したあとでどっと疲れが出ることもあります。
関係がぎくしゃくすると、必要な連携まで取りづらくなることがあります。だからこそ、逃げにくいのだと思います。
立場で見える仕事が違う
もうひとつは、立場によって見えているものが違うことです。
正職員とパート、リーダーと後輩、担任とフリー。同じ場所にいても、任されている責任も、目に入る仕事の量も違います。
行事の準備がわかりやすい例です。誰かが全体の流れを組み立てているとき、その作業は担当していない人からは見えません。逆に、日々の細かい雑務を引き受けている人の負担も、上の立場からは見えにくい。

「なんでやってくれないんだろう」と感じる場面には、相手が怠けているのではなく、そもそも見えている景色が違うだけということもあります。
もちろん、それで納得できるかは別の話です。私自身、給料が違うのに、行事のときは「自分からアイディアを出してね」と言われたり、「ピアノを弾きたい人〜?」と立候補制にされたりして、割り切れない気持ちになったことがあります。
数字や理由だけでは、実際にどんなことでしんどくなるのかは伝わりにくいと思います。次は、私が経験したことを具体的に書きます。
人間関係がしんどかったエピソード
私が人間関係でしんどかったのは、誰かにひどいことをされたときだけではありませんでした。立場のずれや、積み重なる言葉の方が、じわじわ効いてきます。 ここでは実際にあった3つの場面を書きます。

複数担任で立場がねじれた話
経験を重ねてきたころ、複数担任のクラスで勤続年数が2番手という立場になりました。
その年の発表会の出し物を決める時期になったとき、リーダーの先生は「なんでもいいよー、まかせるよー」という感じで、ほとんど関わろうとしません。
私は後輩にも考える経験をしてほしかったので、「毎年その年齢ではこんなことをやっていたよ」とヒントを出しながら、一緒に案を出していきました。そうやって、私が中心になって内容を詰めていったんです。
すると、リーダーと同期の先輩から声をかけられました。
「それ、〇〇先生の耳には入ってて進めてるんだよねぇ?」
私は「もちろん報告してます」と答えました。事実、報告はしていました。でも、その先生の目には、私がリーダーの存在を無視して突っ走っていたように見えたのだと思います。
頼りないからこっちが仕切っているのに。
内心、悔しい気持ちでいっぱいでした。

後輩との関わりで悩んだ話
一方で、自分がリーダーの立場だったときにも悩みました。
保育中に、後輩が同期とプライベートの話をしていることがありました。私がいてもお構いなしだったので、なめられているな、と思いました。
そこでちょっと注意をしたら、ドアをバンと閉められました。
後輩の立場でも、リーダーの立場でも、しんどさはあります。 上に立てば楽になるわけではありませんでした。
嫌味を言う人がいた話
何かにつけて嫌味を言ってくる人もいました。
画用紙を切って製作の準備をしていたときのことです。
「ずいぶんご丁寧に時間かけてるね」
笑いながらでした。でも、仕事が遅い、まだやってるの、と言いたいのが伝わってきました。
向こうはいじっているつもりだったのかもしれません。そういういじりが、2年くらい続きました。
園長や主任に相談したことはありません。相談というほどのことでもない気がしていたからです。ただ、同期にも同じようにいじられている子がいたので、「私はこう言われたよ」と報告し合って、笑い話にしていました。
それでも、距離は置きたいと思っていました。向こうから絡んでくるので、物理的に離れることはできません。同じ職場にいる以上、顔を合わせないという選択肢はないからです。
このとき私がどうしたかは、次の章に書きます。
人間関係のストレスを減らす方法
相手を変えることはできません。でも、自分の関わり方を見直すことで、消耗を減らせることがあります。私がやってみて楽になったことを書きます。

仕事に必要な関係を目指す
まず、目指すものを変えました。
「人間関係が良い職場」と聞くと、みんなが仲良しでプライベートでも会うような状態を想像しがちです。でも、仕事の上で必要な関係はもっと手前にあります。

挨拶や必要な報告、子どもの情報共有、困ったときの確認。この4つができていれば、仕事に必要な連携は取りやすくなります。逆に言えば、それ以上を求めなくてもいいということです。
私は全員に好かれようとするほど、相手の顔色が気になるようになっていました。目指すのは「好かれること」ではなく、「仕事が回る関係」でいい。 そう決めてから、少し楽になりました。
苦手な人とは心の距離を取る
嫌味を言ってくる人には、心の距離を取ることにしました。
物理的に離れられなくても、受け取り方は変えられます。

私は何を言われても、こう思うようにしていました。
この人は満たされていないのかな。
そう考えることで、相手の言葉を自分自身への評価として受け取らなくなりました。
これは今日から試せることです。相手に何かを伝える必要も、環境を変える必要もありません。
愚痴や悪口に同調しない
文句ばかり言う人とも、同じように距離を取りました。
やったことは単純で、愚痴を言われたときにポジティブな返事をして、同調しなかっただけです。
しばらくすると、その人は自然と離れていきました。

これは私の推測ですが、おそらく同調して一緒に悪口を言ってくれる相手を探していたのだと思います。反応が返ってこなければ、話す相手として選ばれなくなる。
嫌われるのが怖くて同調してしまう気持ちは、よくわかります。でも一度合わせると、次からも同じ役割を求められます。角を立てずに離れる方法として、これは効きました。
気づかないうちに離れていた
ここまでは、私が意識して距離を取った話でした。でも、そうしようと思っていなかったのに、いつのまにか離れていたこともあります。
緊張しているように見えた人に話しかけて、緊張をほぐそうとしたことがあります。でも返ってくるのは「はい」だけでした。
話すのも嫌なのかな、と思いました。そして私も、だんだん仕事以外の話をしなくなっていきました。
相手がどういうつもりだったのかは、今も分かりません。ただ、お互いの受け取り方がずれたまま距離ができてしまうこともある。 あの経験から、そう感じるようになりました。

「自分が悪いのかもしれない」と考えすぎてしまうときは、しんどさの原因が仕事内容なのか職場環境なのかを切り分けてみてください。保育士に向いていないのか職場が合わないだけなのかを整理するチェックリストもあります。
人間関係に疲れたときの選択肢
関係をよくしようと頑張ることだけが、正解ではありません。眠れない、出勤前に涙が出る、休みの日も仕事が頭から離れない。そういった変化が心や体に出ているなら、対人関係の改善だけで解決しようとしなくて大丈夫です。
心や体に出るストレスの限界サインについては、別の記事にまとめています。

休む・相談する
有給休暇などを使って、いったん職場から離れる時間をつくる方法があります。一度離れるだけで、見えていなかったことが見えてくることがあります。
園の中に相談できる人がいるなら、主任や園長に状況を伝える方法もあります。誰に話すかは、慎重に選んでいいと思います。
園の中で話しにくいなら、外部の相談窓口もあります。パワハラにあたる可能性がある場合は、無料で相談できる公的な窓口を確認しておくと安心です。

異動や転職を考える
クラス替えや担任の組み合わせが変わるだけで、状況が改善することもあります。異動の希望を出せる園なら、それも選択肢です。
それでも変わらないなら、園そのものを変える方法があります。

休む・相談する・異動・転職のどれを先に考えるかは、状況によって違います。異動の制度がない園もありますし、体調によって順番が変わることもあります。大事なのは順番ではなく、選択肢が複数あると知っておくことです。
一緒に働きやすかった人の特徴
しんどい話ばかり書いてきましたが、13年のあいだには、一緒に働いていて気持ちが軽くなる人もいました。私が一緒に働きやすいと感じた人には、似ているところがありました。

意見を否定せず、形にしてくれる
経験の長い先輩のなかに、こういう人がいました。
発表会の演目を決めるとき、その先生は候補を2つ用意してきて、「どっちがいい?」と聞いてくれました。答えやすい形で渡してくれたので、複数クラスの担任みんなで、その年の子どもたちが好きだった絵本や遊びを思い返しながら、あーだこーだ言って決めることができました。
内容を詰める段階では、最初に新人に意見を聞いていました。そして、出てきた案をどれもボツにせず、うまく流れを整えてくれたんです。

新人にとっては、自分の意見が形になる経験になります。私にとっても、決め方そのものが勉強になりました。
同じように経験年数が長くても、後輩に仕事を任せるだけの人もいました。だから私は、経験年数より「周りの意見をどう扱うか」の方が大きいと感じています。
相手を知ろうとする姿勢がある
一緒に働きやすかった人には、もうひとつ共通していたことがあります。
褒めてくれる。ダメなときはきちんとアドバイスをくれる。そこにメリハリがある。そして、新人に対して壁を作らない。
その人がリーダーをしていたクラスは、年齢が離れていても和気あいあいとしていました。
共通しているのは、相手のことを知ろうとする姿勢だったと思います。何が得意で、何に困っていて、どういうときに力を出せるのか。それを見ようとしてくれる人のもとでは、こちらも安心して動けました。

私もそういう先輩に憧れて、同期や後輩とレジャーに行ったり、誕生日をお祝いしたりしていた時期があります。
人間関係は、「保育士という仕事だから仕方ない」とは限りません。私自身、同じ保育の仕事でも、一緒に働く人によって感じ方は大きく違いました。
今の園の人間関係が、保育士として働ける場所のすべてではありません。転職するかを決める前に、今の園以外の選択肢を知っておくこともできます。
保育エイドは、人間関係の良い園に絞って紹介することを掲げているサービスです。公式サイトでは、コーディネーターが実際に園へ足を運んで雰囲気を把握していること、紹介した保育士から現場の人間関係についてフィードバックを受けていることが説明されています。
登録後、担当者から電話があります。都合のよい時間帯を登録時に伝えておくと、落ち着いて話せます。紹介された求人が合わないと感じたら、その理由を伝えれば別の求人を探してもらえます。
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保育士の人間関係のよくある質問
保育士の人間関係について、よくある疑問をまとめました。
パートなら人間関係は楽ですか?
勤務時間や任される役割が変わることで、負担が変わる場合はあります。ただし、パートでも担任や行事の担当になる園はあります。また、立場が違うことで相談しづらさが出たり、決定に関われないもどかしさを感じたりすることもあります。雇用形態を変えれば解決する、とは言い切れません。
人間関係を理由に辞めるのは、甘えでしょうか?
甘えではありません。東京都の「令和4年度東京都保育士実態調査」でも、以前の職場を辞めた理由として最も多かったのは職場の人間関係でした(38.1%)。人間関係は、退職や転職を考える理由のひとつになり得ます。
園長や主任との関係がつらいとき、誰に相談すればいいですか?
園長本人との関係に悩んでいる場合は法人本部、主任との関係なら園長など、当事者を通さずに話せる相手がいるか確認してみてください。園の中で話しにくい場合は、労働局の総合労働相談コーナーなど外部の窓口も利用できます。詳しくは休む・相談する・異動・転職の4つの選択肢もあわせて読んでみてください。
まとめ:人間関係は環境で変わる
保育士だから人間関係がつらい、とは限りません。誰と、どう働くかで、しんどさはまったく違うものになります。
私は後輩の立場でもリーダーの立場でも悩みました。嫌味を言われ続けた時期もありますし、自分から距離を作ってしまったこともあります。それでも同じ13年のなかに、一緒に働いていて気持ちが軽くなる人が確かにいました。
改善できることは改善する。でも、変わらない環境に居続ける必要はありません。
今の園の人間関係が、保育士として働ける場所のすべてではないということだけ、覚えておいてもらえたらうれしいです。

