保育士の仕事は子どもと遊ぶのがメインではあるものの、その他の業務の中で結構大変なのが保護者対応。
いろいろな保護者がいるのは当たり前なのですが、いい人ばかりではないのが悩みのタネです。
クレームを入れられたり、あからさまに他の保育士と自分とでは違う態度だったりすると、顔を合わせるのも嫌になりしんどい思いをしますよね。
私も、嫌な気持ちになった経験もありますし、苦手な保護者にもたくさん出会いました。
同僚の保育士が保護者対応で悩んでいるときは、当人同士が関わらなくてもいいように間に入り、率先して対応したこともあります。
人対人なので、合う合わないはあって当然。
でも、ちょっとした気遣いや工夫で関わりが楽しくなることもあるのです!
この記事では、いい関係を築くコツや、何かトラブルがあった場合どうしたらいいかの対処法をお伝えします!
このコツと対処法をおさえておくだけで、保護者からの信頼度は増していくことと思います。
いくら保育士同士の関係がうまくいっていても、保護者対応でつまづいてしまうと、心をすり減らしながら働かなくてはならないので大変です。
改善できそうな点はしていきましょう!
保護者対応のコツは?
保護者対応においては、人と関わるときの基本的なことこそが1番大切です。
笑顔でこちらから挨拶
誰もが保育士ってニコニコ優しいというイメージを持っているものですよね。
もちろん中には人見知りな人もいますが、そこはプロの保育士を演じましょう!
にこにこ笑顔でこちらから挨拶すれば、嫌な気持ちになる人はいません。
保護者の中には、育児ノイローゼ気味だったり精神疾患があったり、プライベートで問題を抱えていて機嫌が悪い人ももちろんいるので、無視されることもあります。
少しずつでも心を開いてもらえるように、挨拶は欠かさずしましょう。
子どもの様子は些細なことでも伝える
体調やケガに関する連絡事項、「おもらしして衣服が汚れた」などを伝えるのは当たり前ですが、それ以外にもどんな様子でお友達と遊んでいたか、保育士とどんな会話をしたかなどを話してあげると喜ばれます。
例を挙げると・・・
- 0~1歳→とにかくその日の様子を伝えましょう。「歌に合わせて体を揺らしてました。」「ごはんを食べるのが上手でした。」「お友達の頭をなでていました。」など。
泣いてばかりいる子も、数秒でも泣き止む瞬間が必ずあるはずですから、その時のことを話してあげるといいですね。 - 1~3歳→おしゃべりが少しずつ上手になるので、子どもならではの言い間違えエピソードは微笑ましくて喜ばれます。
他にも、遊びが活発になりお友達との関わりが出てきますので、誰とどんな遊びをしていたかなどを伝えてあげましょう。 - 4~6歳→自分でできることがグンと増え、会話も面白くなってきます。ケンカなどのトラブルを伝えるときは悪い面ばかりではなく、どうやって仲直りできたか・仲直りした後の様子などを話してあげると安心できるかもしれません。
クラス全員のエピソードを覚えておくのは難しいので、何か面白いことがあったときには一言でもメモをとっておくといいですよ!
様子を伝えるのは何か良くないことがあったときになってしまいがちですが、明るい話題をいつでも話せるようにストックしましょう!
「すぐ伝えたくて!」と一言を添えると、よく見てくれているのだなと安心できると思います。
言葉遣いに気を付ける
保護者の中には長い付き合いになる人や、すごく気の合う人もいるかもしれません。
そんなときについつい敬語なし(タメ口)で話していませんか?
仲良くいられるのはいいのですが、一定の距離を保って接するのが大事です!
また、「マジで」「やばい」など、若者言葉はNG!
保護者にだけではなく、もちろん子どもたちの前でも気を付けたい言葉です。
- マジで?→本当に?
- やばい→大変
- ウケる→おもしろい
など、普段つい使ってしまいがちな言葉こそ気を付けたいですね。
保護者の話を否定せずに聞いてあげる
保育士側からすると、「子どもを1番に考えてあげてほしい」と思ってしまうものですが、それぞれ家庭の事情も保護者のキャパシティも違います。
ですが、園のルールを守ってもらうという点に関しては他の家庭と分け隔てなく伝えなくてはなりません。
たとえばこんな例があります。
- お迎え時間をいつも過ぎてしまう
- 提出物の期限を守らない
- 持ち物に記名しない
これらは守ってもらわなくてはならないのですが、毎日毎日繰り返し伝えられると余裕のない保護者の方はイライラしてしまうかも。
私たちも、余裕がなく気持ちが落ち込んでいるときってありますよね。
そんな時に、「お仕事忙しいのはわかるんですけど・・・」なんて言ってしまうのは避けた方がいい場合もあります。
また、育児の悩みは何歳になっても尽きないもの。
保育士を信頼して頼ってきてくれたのであれば、存分に話を聞いてあげましょう。
この時は、否定をせずに聞いてあげるのがポイントです。
他にも例えば夫婦喧嘩の話や仕事が大変など、子育ての悩み以外にもちょっとした愚痴を話してくるお母さんたちもいます。
「大変でしたね。」「頑張っているんですね。」「無理しないでくださいね。」そんな一言に心を軽くしてくれるかもしれませんね。
プロとして堂々と接する
否定せずに話を聞くとは言ったものの、じゃあすべてを受け入れてあげればいいのかというとそうではありません。
なんでも保護者の言いなりになってしまっては、それこそトラブルの元です。
ここはプロとして堂々と接していきましょう。
保育士経験が少なくて保護者からの質問にうまく答えられないときは、先輩保育士に対応を代わってもらったり、後日改めて話をする時間を設ければいいだけです。
必要以上に謝ったり下手に出る必要はないですよ。
保護者対応がしんどいときの対処法
保護者とうまく付き合っていくコツを述べてきましたが、では、なにかトラブルがあって関係がうまくいかなくなってしまったり、対応がしんどいと感じた時はどうしたらいいのでしょうか?
ひとつずつ見ていきましょう。
一人で対応しないで他の保育士に代わってもらう
複数担任の場合は、相性の悪い保護者の対応は他の人に任せてしまいましょう。
担任・担当だからと言って、必ずその保育士がすべてやらなくても大丈夫。
相性が悪い人や言いがかりをつけてくる人も少なからずいますから、柔軟に対応していきましょう。
ただし、直接関わらないとしても挨拶は忘れずにしましょうね。
近くにいるのに挨拶もしなかったり、目の前にいるのに朝の受け入れなどをしないのは、余計に関係をこじらせてしまうので注意です!
園長・主任・リーダー(チーフ)にこまめな報告・相談
ちょっとのケガに対してもすごく敏感だったり、お友達とのトラブルなどもすべて知りたがる保護者もいます。
転んで擦りむいた・お友達にひっかかれたなど、多少のケガでは園長まで報告することも少ないかと思います。(園長が保育に参加していない園ならなおさら)
かわいい我が子が痛い思いをしているので当然なのですが、誰が見ても大袈裟なケガではないのに過剰に心配する保護者もいますよね。
そんな時は、あとから病院を受診する・しないの話に発展することもありますので、最初から園長・主任に報告や相談をしておくのが賢明かと思います。
神経質な人もいるので、それぞれに合った対応ができるのが理想です。
他にも、当たり障りないことでクレームを入れてくる人もいますので、職員全員で共有しておくといいですね。
つらいときは休む
いくら頑張って子どもや保護者と向き合っていても、人間同士なのでこじらせてしまうことも少なくありません。
頑張っても分かり合えない・無視される・クレームばかり入れられるなど、精神的に参ってしまう人もいるでしょう。
そんなときは、思い切って休むのもいいと思います。
つらいことは忘れて趣味に没頭したり、誰かに会ったり、楽しい時間を過ごして一度心をリセットできるといいですね。
悩みを聞いてくれる人に話すと案外どうでもよくなったりもするので、誰かに頼ってみるのもおすすめです。
転職するのもあり
あまりにも保護者対応で疲れてしまったら、思い切って転職するのも選択肢のひとつ。
「辞めてやる!」そう思うだけで少し心が軽くなるはず。
また、辞めたいとまで悩んでいることを園長が知れば、早急に何か対策をしてくれるかもしれません。
保育士と保護者のトラブルの事例
私が過去に体験した保護者とのトラブルの一例を書いておきます。
事例1|少しのケガも納得しない保護者
1歳児クラスの担任をしていた時に、お友達に顔をひっかかれ、目の下に数ミリの傷ができてしまった子がいました。
お迎え時に状況を説明しても保護者は「かわいそう…」としか言わず。
もちろんこちらのミスなのでただただ謝りましたが、結局納得することはなく降園。
次の日の朝も謝りましたが、とにかく子どものお父さんが怒っているとのこと…
勤めていた園では小さなひっかき傷程度では受診しないのが普通でしたが、園長に相談した結果、受診して納得するのならしましょうということになりました。
形成外科を受診しましたが、医者も当然苦笑いする程度の傷。
ただ、保護者は病院に受診したという事実だけで納得する形に収まりました。
事例2|保護者に嫌われた!!
不機嫌なことが多いけど、好きな先生には満面の笑みで話しかける保護者。
ですが私は嫌われていたようで、私の挨拶は無視をしたり、何か連絡事項を伝えるとチクチクと嫌味を言ったりされました(笑)
その子どもの誕生日に、「今日〇〇くんお誕生日ですよね!おめでとうございます!」と声を掛けても「はぁ。」と会釈する程度、「今日はパーティーするんですか?」と聞くと「わかりません。」と一言。
自分の子どもの誕生日にパーティーをするかどうかわからないってことないですよね。(笑)
このやりとりが決定打となり、もうこの保護者に近づくのはやめようと決めました。
めげずに声を掛け続けていましたが、この出来事からは挨拶程度にしておくことにしました。
合わなかったんだろうなと思うようにして、自分のメンタルを削られないように行動しました。
事例3|保育士はなんでもやってくれると思っている
これは本当に多いです。
- おもらしした服やシーツが水洗いじゃ臭いので、洗剤で洗ってほしい
- 箸の使い方はいつ教えてくれますか
- トイレトレーニングはすべて園任せ
- おしぼりについたご飯粒は園でとってほしい
これ全部、実際の保護者からの要望です。
自分のことしか考えていないとはまさにこのこと!
一人だけ特別扱いするわけにいかないと想像はできないのでしょうかね…
もちろん全員にこんなことをしていては人手が足りないですし、保育園はしつけをするところではないので丁寧にお断りしました。
保護者の中には、保育士より立場が上・何を言っても受け入れてもらえると考えている、いわゆるモンスターペアレントも少なからずいます。
嫌われているのかなと感じるときは、自分からは近づきすぎず、必要最低限の関わりだけ持っていればOK。
ただし、関わり方のコツでもお伝えしたように、挨拶をするときはこちらから笑顔でということは忘れないようにしたいですね!
保護者対応のコツとしんどいときの対処法:まとめ
保育園に通う子どもたちが一人ひとり違うように、その保護者もまたさまざまです。
とにかく保育士に感謝をしてくれる人や多少のケガやトラブルを笑い飛ばしてくれる人もいれば、ほんの些細なことでもクレームを入れてくる人もいます。
今回そんな保護者とうまく関わるコツと、しんどいと感じるようなトラブルがあったときの対処法をまとめてみました。
保護者とうまく関わるコツ
- 笑顔でこちらから挨拶をする
- 子どもの様子は些細なことでも伝える
- 保護者の話を否定せずに聞いてあげる
- 言葉遣いに気を付ける
- プロとして堂々と接する
トラブルがあったときの対処法
- 1人で対応しないで他の保育士に代わってもらう
- 園長・主任・リーダーにこまめな報告・相談
- つらいときは休む
- 転職するのもアリ
一人の保育士対保護者のトラブルやクレームは園全体で考えるべきだと私は思います。
こちらの態度に非がないのに、好き嫌いというものさしだけで些細なことを大袈裟にとらえ、クレームを入れてくる人も中にはいるかもしれません。
そんなときに一人で抱え込んでしまわないためにも、小さな悩みのうちに同僚や主任・園長に相談をし、いざという時には守ってもらいましょう。
ただ、あまり寄り添ってくれない園長がいるのも事実・・・
そんなときは思い切って休暇をとったり転職するのも、自分を守る選択肢のひとつです!
ただ、いつかはその保護者の子どもも卒園するので、クラスを離してもらうなどの対策をとるのが一番理想かもしれません!
ここまで読んでくれたあなたの心が少しでも軽くなったら嬉しいです!
最後まで読んでいただきありがとうございました。