「自分の子どもと同じ保育園で働くのって、実際どうなんだろう」
母子同園を考えたとき、そう不安になる方は多いと思います。
送迎がラクになりそう。子どもの様子が近くで分かるのは安心。そう感じる一方で、仕事中に子どもが泣いたらどうしよう、ほかの先生に気を遣わせてしまうかもしれない、仕事と母親の気持ちを切り替えられるのかな……と心配になることもありますよね。
私はこれまでに、母子同園を2回経験しました。
どちらも「やってよかった」と感じていますが、大変だったことや、しんどかった場面もあります。保育士だからこそ見えてしまうこともありました。
この記事では、保育士歴13年・2児ママの私が、母子同園を2回経験して感じたメリット・デメリット、うまく続けるために意識したこと、求人で確認しておきたいことを正直にまとめます。
- 母子同園とはどんな働き方か
- 母子同園のメリット・デメリット
- つらい・辞めたいと感じる場面
- うまく続けるための工夫
- 求人で確認しておきたいこと
母子同園とは?自分の子どもと同じ園で働くこと
母子同園とは、保育士が自分の子どもを勤務先の保育園に預けながら働くことです。
送迎と出勤をまとめられるため、育休明けの復帰や転職のタイミングで選択肢に入ることがあります。ただし、すべての園で対応しているわけではなく、受け入れ方やルールは園によって違います。
「子どもが泣いて仕事にならないんじゃないか」
「後輩に気を遣わせてしまうんじゃないか」
「仕事と母親の気持ちを切り替えられるのかな」
そんな不安を持ちながら、現実的な選択肢として母子同園を考えている保育士さんもいると思います。
まずは、私が母子同園を2回選んだ理由からお話しします。
【体験談】私が母子同園を2回選んだ理由
私はこれまでに、母子同園を2回経験しました。
どちらも「絶対に母子同園がいい」と強く望んで選んだというより、育休明けの復帰や送迎の現実を考えたときに、いちばん無理が少ない選択だったという感覚に近いです。
1回目:無理だと思っていた自分の園に預けることに
1回目は、育休明けの復帰でした。
最初は、自分の勤務先ではなく系列園に子どもを預けるつもりで、育休中に系列園の園長先生へ相談しに行きました。
というのも、当時の私の勤務先では母子同園の前例がなく、「きっと自分の園に預けるのは無理だろう」と勝手に思い込んでいたからです。
その後、いつから復帰できるかなどを相談するために自分の園へ行ったとき、園長先生から「別にうちに預けたっていいんだよ」と言われました。
まさかそんな選択肢があると思っていなかったので驚きましたが、送迎や復帰後の生活を考えると、同じ園に預けられるのはかなり助かると感じて、その場でほぼ即決しました。
近くに頼れる親族がおらず、送迎は夫婦2人でやりくりするしかない状況でした。
職場と保育園が同じ場所になれば、朝の動きがずいぶんラクになる。理想というより、現実問題としてそれがいちばん回しやすい形でした。
職場まで歩いて通える距離だったこともあり、子どもと一緒に通勤・登園した毎日は、今では大切な思い出です。
2回目:ご縁がきっかけで、また母子同園に
2回目は、下の子が通っていた別の園の先生から声をかけてもらったのがきっかけです。
自分から積極的に母子同園を探したというより、ご縁でそうなった形でした。
子どもが卒園するまでの間、また母子同園で働くことになりましたが、結果的にどちらも後悔はありません。
母子同園は、「絶対にこの働き方がいい」と前向きな理由だけで選ぶ人ばかりではないと思います。
送迎、勤務時間、家族の協力、子どもの年齢。そうした現実を考えたときに、同じ園で働くことがいちばん続けやすい形になる場合もあります。
母子同園のメリット5つ|やってみて初めてわかったこと
母子同園には大変な面もありますが、実際に経験して「助かった」と感じたこともたくさんありました。
ここでは、私が母子同園を2回経験して感じたメリットを5つ紹介します。
① 通勤と送迎がまとめてできる
朝の忙しい時間に、送迎と出勤が1回で済むのは、思っていた以上に大きなメリットでした。
私の場合は職場まで歩いて通える距離だったので、子どもと一緒に登園し、そのまま出勤できました。
別の園に預けていると、早番の日は開園時間と出勤時間が重なったり、遅番の日は延長保育を使って閉園ギリギリのお迎えになったりすることもあります。
母子同園だと、こうした送迎の負担がかなり少なくなります。
② 子どもの様子を近くで見守れる
担当クラスが別でも、廊下からチラッと様子を見られるだけで安心感がありました。
行事前の練習を見られるのも嬉しかったです。普通に働いていたら、なかなか見られない姿です。
卒園式は「練習を見ていたら感動が薄れるかな」と思っていましたが、そんなことはありませんでした。
「ちょっと見てきていいよ」と声をかけてくれる同僚の存在もありがたかったです。
③ 同僚に我が子をかわいがってもらえる
一緒に働く先生の子どもということで、同僚にも少し気にかけてもらえました。
遊んでいる場面だけでなく、注意された場面も含めて教えてもらえると、親としてはありがたかったです。
家での悩みを相談できたのも大きかったです。
子どものことを知っているだけでなく、私自身の性格まで分かっている同僚に相談できるのは、母子同園ならではだと感じました。
同じく母子同園で働く先輩に話を聞いてもらえたこともあり、一緒に育ててもらっている感覚がありました。
④ 体調不良のときにすぐ動ける
子どもが発熱したとき、担任の先生が主任や園長に先に報告してくれていて、私に知らせが来たときには「フリーの先生入れるから帰っていいよ」と言ってもらえたことがありました。
自分から言い出す前に周りが動いてくれる。これは、同じ園にいるからこその安心感でした。
別の園に預けていたら、連絡を受けてから職場を抜けるまでにも、もう少しやりとりが必要だったと思います。
⑤ 子どもの行事を仕事をしながら見られる
運動会や発表会で、「ちょっと抜けて見てきていいよ」と言ってもらえることがありました。
有給を使わずに、近くで子どもの姿を見られたのはありがたかったです。
ただし、運動会の親子競技は夫に出てもらいましたし、スマホで撮影もできませんでした。
母子同園だからすべて保護者として参加できるわけではないので、そこは割り切りも必要です。
母子同園のデメリット・大変だったこと
母子同園には助かった面もたくさんありましたが、大変だったこともあります。
ここは正直に書きます。
後輩に気を遣わせてしまう
育休明けで復帰する場合、先輩の子どもを担任するのは、後輩にとってプレッシャーになることがあります。
新人の先生に我が子を担当してもらったとき、気を遣わせているなと感じて申し訳なかったです。
どうしようもない部分でもありますが、母子同園では「自分の子どもを見てもらう側」でもあることを頭に入れておいた方がいいと思います。
子どもが小さいうちは切り替えが難しい
まだ小さい子どもにとって、保育園にいるママは「保育士」ではなく「ママ」です。
他の子を抱っこしているのを見てヤキモチを妬いたり、仕事中なのに離れられなかったりする場面も出てきます。
子ども自身が園での生活に慣れ、親と保育士を少しずつ切り替えられるようになるまでは、親としてもしんどい時期があります。
内部の人間だからこそ見えすぎてしまう
同じ職場にいる立場なので、保護者としては知らなくてもよい内部事情が見えてしまうことがあります。
子ども同士のいざこざだけなら、保育士として受け止められることもあります。
でも、そこに親同士のトラブルが絡んでくると、職員としても親としても気持ちの置き場に悩むことがあります。
さらに、それが自分の子どもの同級生の家庭のことだったり、もともと仲のよかった家庭同士のことだったりすると、かなり複雑です。
この境界線がしんどいと感じる人もいると思います。
子どもだけ預けて自分だけ休むのは言い出しにくい
子どもを登園させておいて、自分はリフレッシュのために有給を取る。
これは、母子同園だとなかなか言い出しにくいと感じる人もいると思います。
ただし、ここは子どもの年齢や園の雰囲気によってかなり変わります。
2回目の母子同園では、「どんどん休んでいいよ」という雰囲気だったので、そこまで気になりませんでした。
働く前に、有給の取りやすさや、自分が休みの日に子どもを登園させてもよいかを確認しておくと安心です。
子どものトラブルで保護者として動きにくいことがある
これは実際に経験したことです。
子どもが他の子とのトラブルに巻き込まれてケガをしたとき、私が第一発見者でした。
普通に通わせている保護者に比べて、保護者として気持ちを受け止めてもらいにくいと感じたことがあります。
職員でもあるからこそ、「分かってくれるだろう」と思われてしまう部分があったのかもしれません。
でも、親としてはモヤモヤが残りました。
「言い出したら働きづらくなるかもしれない。でも、このままにするのもしんどい」と葛藤しながら、最終的には自分から園長に話をしました。
その後、話を聞いてもらい、対応してもらえたことで気持ちは少しずつ落ち着きました。
母子同園では、職員としての立場と保護者としての気持ちが重なることがあります。
ここは、実際に経験してみて一番難しいと感じた部分でした。
母子同園がつらい・辞めたいと感じたら別の園を選んでもいい
母子同園は、合う人にはとても助かる働き方です。
でも、合わない人にとっては、仕事と家庭の境目があいまいになって、かなりしんどく感じることもあります。
子どもが仕事中に泣いて離れられない。
自分の子どものトラブルが気になって、仕事に集中しづらい。
同僚や後輩に気を遣いすぎて疲れる。
子どもを預けて自分だけ休むことに罪悪感がある。
こうしたことが続くと、「母子同園を選ばなければよかった」「もう辞めたい」と感じることがあっても不思議ではありません。
私自身は、母子同園そのものを理由に辞めたいとまでは思いませんでした。
ただ、子どものトラブルがあったときや、保護者としての気持ちと職員としての立場がぶつかったときは、仕事に行くのが重たく感じたことがあります。
最終的に、別の園に転園させた同僚もいました。
シフトが終わった瞬間に子どもを連れて帰らないといけないから身動きが取りにくい、と話していた人もいました。
職員という立場だと、ママ友と深い関係を築きにくいと感じる人もいます。
子どもが環境に慣れるまで時間がかかるタイプだったり、仕事とプライベートをきっちり分けたいタイプだったりするなら、無理に同じ園にこだわる必要はありません。
母子同園が合う人もいれば、合わない人もいます。
別の園を選ぶことも、母子同園をやめることも、逃げではありません。
親子にとって無理なく続けられる形を選ぶことが、いちばん大切だと思います。
母子同園でうまくやるために私が決めていた3つのこと
母子同園がうまくいくかどうかは、園の環境だけでなく、自分の意識の持ち方にも左右されると感じました。
私が自分なりに決めていたことは、次の3つです。
① 他の家庭と同じように園のルールを守る
自分が保育士だからといって、特別扱いを期待しないようにしていました。
たとえば、登園時間。
自分のシフトが遅いからといって子どもの登園も遅くすると、クラスの流れに影響したり、周りの先生が動きづらくなったりすることがあります。
連絡帳の書き方、持ち物のルール、お迎えの時間も同じです。
保護者として求められることを、他の家庭と同じようにきちんと守る。
それだけでも、周りの先生との関係はかなり変わると感じました。
② 子どものトラブルに神経質になりすぎない
保育士として働いていると、園生活の中でケガやトラブルが起こることも知っています。
それでも、我が子のことになると、つい過剰に反応しそうになる場面がありました。
だからこそ、最初から「園生活の中で起こりうることもある」と自分に言い聞かせるようにしていました。
もちろん、何でも我慢するという意味ではありません。
気になることがあれば必要に応じて相談しつつ、すべてを自分の中で抱え込みすぎないことも大切だと思います。
③ 仕事中はなるべく自分から子どもに近寄らない
子どもが同じ空間にいると、親としてつい近づきたくなります。
でも、仕事中はなるべく自分から子どもに近寄らないようにしていました。
どうしても離れられないときは、他の子も一緒に遊べるようにして、親子だけの時間にならないように気をつけていました。
この線引きは、子どもが園で過ごしやすくなるためにも、周りの先生への配慮としても大切だったと感じています。
母子同園の求人で確認したいこと
「母子同園OK」と書かれていても、実際にどこまで配慮してもらえるかは園によって違います。
入職してから「思っていた働き方と違った」とならないためにも、求人票だけで判断せず、面接や見学の段階で聞いておきましょう。
早番・遅番のシフトと保育時間の関係
まず確認しておきたいのが、シフトと子どもの保育時間の関係です。
早番は、園の開園時間と出勤時間がほぼ同じになることがあります。その場合、子どもをいつ誰が見てくれるのか、どのタイミングで登園扱いになるのかを入職前にすり合わせておくと安心です。
遅番の場合も、退勤時間と保育終了時間が合わないときにどう対応するのかを聞いておきましょう。
私が実際に確認したのは、早番の出勤時間が保育開始時間より早いけれど、子どもを一緒に連れてきてもいいかという点でした。
そのときは、「保育開始時間までは、自分で子どもを見ながら保育室の準備をして大丈夫。保育時間になったら登園扱いにすればいいよ」と言ってもらえました。
また、遅番の日は退勤時間が閉園時間に近くなるため、子どもの降園時間をどう扱うのかも確認しておくと安心です。
こういった細かい部分は求人票には書かれていないことが多いので、面接で具体的に聞いておくと、入職後のズレを防ぎやすくなります。
子どもを同じクラス・同じ学年にしない配慮があるか
母子同園で働く場合、自分の子どもと同じクラスや同じ学年になる可能性があるかも確認しておきたいポイントです。
私が経験した2回とも、同じクラスや同じ学年にはならないように、人事の段階で配慮してもらえていました。
ただし、すべての園で当然のように配慮されるとは限りません。
同じクラスになるのが不安な場合は、希望や懸念を面接の段階で伝えておくと安心です。
有給の取りやすさと、子どもの登園についての考え方
母子同園では、自分が休みの日に子どもを登園させることへ気まずさを感じる場合があります。
子どもを登園させて、自分だけ有給を取ってもよいのか。リフレッシュ目的の休みでも預けられる雰囲気なのか。
ここは園によってかなり違います。
入職前に確認しておくと、働き始めてから「聞きにくい」「休みにくい」と悩まずに済みます。
保護者としての参加や対応はどうなるか
母子同園では、職員でありながら、同時に保護者でもあります。
そのため、保護者会への出席、行事での立ち位置、連絡帳のやりとりなど、どこまで他の保護者と同じように対応するのかを確認しておくと安心です。
「職員だから省略される」のか、「他の保護者と同じように参加する」のかで、負担感は変わります。
また、保護者としての情報が職場内でどのように扱われるのかも、気になる場合は確認しておくとよいと思います。
母子同園は、求人票の「母子同園OK」という言葉だけでは分からない部分が多い働き方です。
自分で聞きにくい場合や、複数の園を比べながら探したい場合は、条件を相談しながら求人を探せる転職サービスを使う方法もあります。
保育士向けの転職サイトについては、別記事「保育士の転職サイトはどこがいい?悩み別におすすめを紹介」でまとめています。
FAQ:母子同園でよくある質問
母子同園とはどういう意味ですか?
母子同園とは、保育士が自分の子どもを勤務先の保育園に預けながら働くことです。
送迎と出勤をまとめられるメリットがありますが、仕事中に子どもと顔を合わせる場面があったり、親としての気持ちと保育士としての立場の切り替えが難しかったりすることもあります。
勤務中に子どもが離れてくれなかったらどうすればいいですか?
完全にゼロにはできません。私自身、仕事中に泣き叫んで離れてくれなかったことがありました。
そのときは他の子も交えて一緒に遊べるようにして、親子だけの時間にならないように気をつけながら対応しました。
周りの先生が協力してくれる環境であれば、時間が経つにつれて子どもも少しずつ慣れていきます。
他の保護者に職員だと知らせた方がいいですか?
私は、知らせた方がいいと感じました。
後から中途半端に伝わるより、最初に自分から伝えた方が気持ちが楽だったからです。
2回目の母子同園では、クラス懇談会や保護者のお話会で「ここで働いています」と自己紹介していました。
ただし、知らせる以上は、自分の子どもに必要以上に近づかないことや、ひいきと思われない振る舞いを意識することも大切です。
自分の子どもと同じクラスになることはありますか?
園によっては、同じクラスや同じ学年にならないように配慮してもらえる場合があります。
私が経験した2回とも、入職前の人事の段階で、同じクラス・同じ学年にはならないよう調整してもらえていました。
ただし、すべての園で同じ対応とは限りません。同じクラスになるのが不安な場合は、面接や入職前の段階で確認しておくと安心です。
母子同園に向いていない人はどんな人ですか?
周りの目が気になりやすい人や、仕事とプライベートをはっきり分けたい人には、しんどい場面が多くなりやすいです。
子どもが仕事中に泣いているとき、どんなに前向きな性格でも申し訳ない気持ちになることがあります。
親としての気持ちと保育士としての立場を切り替えるのがつらい場合は、別の園を選ぶ方が合っていることもあります。
母子同園がつらい・辞めたいと感じたらどうすればいいですか?
母子同園がつらいと感じるのは、甘えやわがままではありません。
子どもの様子が気になりすぎたり、同僚に気を遣いすぎたり、保護者としての気持ちを出しにくかったりすると、しんどくなることがあります。
「自分には合わない」と感じるなら、別の園を選ぶこともひとつの方法です。親子にとって無理なく続けられる形を考えてみてください。
まとめ:母子同園はメリットだけでなく続けやすさで考えよう
母子同園を2回経験してみて、私はどちらも「やってよかった」と感じています。
通勤と送迎がまとめてできる毎日のラクさ、子どもの行事前の練習を見られたこと、同僚に一緒に育ててもらっている感覚は、実際に経験してみないと分からないものでした。
一方で、大変だった場面もあります。
子どもが小さいうちは仕事中に離れにくかったり、同僚に気を遣ったり、保育士だからこそ見えてしまうことに悩んだりすることもありました。
同じ園に預けるか、別の園にするか。どちらが正解かは人によって違います。
大事なのは、母子同園にメリットがあるかどうかだけではなく、自分と子どもが無理なく続けられるかどうかです。
「なんとなく不安だから」という理由だけで選択肢から外すのは、もったいないと感じています。
ただし、実際に働いてみて「自分には合わない」と感じたときは、別の園を選ぶことも立派な判断です。
母子同園OKの求人を探す場合は、求人票だけで判断せず、勤務条件や園の方針まで確認しておくと安心です。
求人探しで迷う方は、別記事「保育士の転職サイトはどこがいい?悩み別におすすめを紹介」も参考にしてください。

