保育士の保護者対応で大切なこと|疲れたときの関わり方

保護者対応がしんどい。関わり方のコツや対処法を解説の記事のアイキャッチ画像

「また何か言われたらどうしよう」

お迎えの時間が近づくと、少し胃が重くなる。

保護者と話すのが、なんとなく怖い。

そんなふうに感じている保育士は、あなただけではありません。

結論からお伝えすると、保護者対応は全員に好かれるためのものではありません。

大切なのは、子どもを真ん中に置いた関わりを続けること。そして、困ったときは園全体で対応していいということです。

保護者対応がしんどくなりやすいのは、相手が「子どもを預けている保護者」だからです。

保育士にとっては小さな出来事でも、家庭にとっては大きな不安になることがあります。保護者にも、仕事で疲れている日や、育児に余裕がない日があります。

保育士が悪いわけでも、保護者が悪いわけでもありません。

お互いに余裕のない瞬間が重なると、ほんの一言から関わりが難しくなることがあります。

私は保育士歴13年、2児の母です。ブランク6年を経て、今はパート・フリーの立場で現場に戻りました。

保護者に挨拶を返してもらえなかったことがあります。「優しくないんですね」「子どもの言うことを鵜呑みにしないでくれる?」と言われた経験もあります。

そして私自身、わが子を園に預ける保護者でもありました。担任の先生からの電話に、正直もやもやした経験もあります。

保育士と保護者、両方の立場から見えたことを、きれいごとだけにせずお伝えします。

この記事でわかること
  • 保育士の保護者対応で大切なこと
  • 場面別の、保護者への伝え方
  • 失敗しやすい場面と、その対処法
  • ケガやクレームを伝えるときの順番
  • 新人・パート・フリーの保護者対応
目次

保育士の保護者対応で大切なこと

保育士の保護者対応で大切なこと3つをまとめた図。子どもを真ん中に置く、全員に好かれようとしない、園の方針として伝える。苦手な保護者がいても挨拶と必要な報告は続けること、ひとりで判断しないことが大切だと紹介している。

保育士の保護者対応で大切なのは、子どもを真ん中に置くことです。保護者と仲良くなることや、全員に好かれることが目的ではありません。

子どもが家庭と園のどちらでも安心して過ごせるように、必要なことを共有する。

これが、保護者対応の土台です。

この土台をふまえて意識したいことを、3つに整理しました。

全員に好かれようとしなくていい

保護者対応は、全員に好かれるためのものではありません。

苦手な保護者がいるのは、おかしいことではありません。人と人なので、相性はあります。

大事なのは、苦手だからといって、挨拶や必要な報告をなくさないこと。気持ちは別にして、やることはやる。それで十分です。

私にも、明らかに自分にだけ態度がきついと感じる保護者がいました。

ほかの保育士とは笑顔で話しているのに、私には挨拶が返ってきません。

その子は友だちに手が出たり、噛みついてしまったりすることがあり、遅番の私が報告しなければいけない場面も多くありました。

その役回りが回ってくる日は、正直しんどかったです。

それでも、笑顔での挨拶と必要な報告だけは続けました。

「お母さんも、仕事や育児で余裕がないのかもしれない」

そう背景を想像することで、自分の気持ちを保っていました。

結局、その保護者とは最後まで距離が縮まらないまま終わりました。なぜ嫌われていたのかも、分かっていません。

でも、こちらも必要以上には近づかなかったので、慣れてしまえばダメージはありませんでした。

そして、その保護者の子どもは、私にもよく甘えてくれる子でした。かわいくて仕方ありませんでした。

保護者と子どもは、別です。

みんなに好かれなくていい。でも、必要な関わりは続ける。この線引きを持っておくだけで、保護者対応をすべて自分のせいにしにくくなります。

園の方針として伝える

保育士が保護者に伝えにくいことを伝えるときの言い方を比較した図。「私はできません」ではなく「園としては、このようにお願いしています」、その場で「大丈夫ですよ」と答えず「確認してからお返事します」と伝えるなど、園の方針として伝える言い換えを紹介している。

伝えにくいことは、あなた個人ではなく「園の方針」として伝えます。

個人の判断で受けてしまうと、ほかの家庭との公平性が保てなくなることがあるからです。

園には、登園時に保護者にお願いしている準備があります。

ある保護者から「時間がないので、代わりにやっておいてほしい」と頼まれたことがありました。

その場には、自分で準備をしている保護者もいます。

「急いでおられるところ申し訳ありません。みなさんにお願いしていることなので……」

そう伝えると、返ってきたのは「優しくないんですね」という言葉でした。

その一言は、正直かなり残りました。

逆に、伝えられなかったこともあります。

ある日の降園時、子どもの靴が見つからないことがありました。その子が履いてきたのは、記名のないサンダルです。

本人は「ピンクのマジックテープの靴」と話しましたが、防犯カメラを確認すると、履いてきたのは黄色のサンダルでした。同じサンダルの子が、間違えて履いて帰っていたのです。

靴は無事に戻りました。

でも保護者から返ってきたのは、「子どもの言うことを鵜呑みにしないでくれる?」という言葉でした。

園では記名と、散歩に適した靴をお願いしていました。それでも私は萎縮してしまって、何も伝えられませんでした。その後も、その保護者からの風当たりは強いままでした。

伝えても、伝えられなくても、ひとりで受け止めるとしんどい。

だからこそ、保育士個人の判断ではなく、園の方針として伝える形を持っておきます。

「私はできません」ではなく、 「園としては、このようにお願いしています」

この形にすると、保護者も保育士も、お互いに角が立ちにくくなります。

その場で判断できないときは、「確認してからお返事します」と伝え、主任や園長に確認しましょう。立場ごとのつなぎ方は、記事の後半でくわしく解説します。

保護者との関わり方のコツ

保護者との関わり方のコツは、特別な話し方を覚えることではありません。

子どもの姿をよく見て、気づいたことをていねいに伝える。そして、家庭のことを聞いてみる。その積み重ねが、信頼につながります。

私が保護者の立場だったとき、こんなことがありました。
汚れた衣類を持ち帰った翌日、園バッグに新しい着替えを入れて持たせました。
ところがその着替えは、袋に移されないまま、夕方そのまま戻ってきました。
「ちょっと見てあげてほしかったな」
そう思いましたが、先生たちが大変なのは分かっていたので、口に出したことはありません。

保護者は、小さな気づきや要望を、すべて口にするわけではありません。

だからこそ、子どもの姿を伝えるだけでなく、家庭で困っていることがないかを、保育士の側から尋ねることにも意味があります。

場面ごとの声のかけ方は、次のとおりです。

保育士が保護者と関わるときのコツ3つをまとめた図。子どもの姿と感謝を伝える、家庭のことをさりげなく聞く、必要な情報を家庭全体に届ける。いい姿をひとつ伝える、お願いの前にありがとうを渡す、お迎えの人だけで終わらせないなど、特別な話し方を覚えなくてもできる関わり方を紹介している。

子どもの姿と感謝を伝える

保護者に話しかけるときは、その日の子どものいい姿をひとつ伝えるだけで十分です。

無理に雑談を広げようとしなくて大丈夫です。子どもを真ん中にすると、自然に会話が生まれます。

ある日、子どもがアイドルの歌を口ずさんでいたので、そのことを保護者に伝えました。

すると、「実は私がファンで、ライブにも行ったんです」と話してくれて、そこから会話が広がったことがあります。

伝えたいのは、子どものことだけではありません。

持ち物の準備、提出物、名前書き。当たり前のように見えることでも、毎日続けるのは大変です。

注意やお願いを伝える前に、ありがとうを渡す。この順番を意識するだけでも、保護者対応は少し変わります。

その効果を、私は保護者になってから知りました。

下の子の担任だった先生は、会うたびに私のことを褒めてくれる方でした。

「お母さんすごい!そんなことしてあげたって、聞いたことないですよ」

手のかかる子で、悩むことも、イライラしてしまうことも多い時期でした。

それでも、その一言があるだけで、帰り道の気持ちが違いました。

保護者も、認めてもらえるとうれしいものです。

保育士が保護者に声をかけるときの、場面別の最初の一言をまとめた早見表。話題に迷ったとき、感謝を伝えたいとき、家庭のことを聞きたいとき、その場で判断できないとき、悩みを相談されたときの5場面について、そのまま使える言い方を紹介している。

家庭のことを聞いてみる

伝えるだけでなく、聞いてみることも会話の入り口になります。

給食が苦手で、なかなか食べられない子がいたとき。私は保護者に、こう聞くようにしていました。

「おうちではどうですか?」 「どんなものなら食べますか?」

「家ではどんなおもちゃで遊んでいますか?」と聞いたこともあります。

すると、多くの保護者がうれしそうな顔で話してくれます。自分が保護者になって分かりましたが、わが子のことを聞かれるのは、うれしいものです。

聞くことは、保育のヒントにもなります。

園での姿と家庭での姿を合わせると、関わり方を変えられることがあります。給食が進まない子も、家で食べているものが分かれば、声のかけ方を工夫できます。

質問は、雑談を広げるためのものではありません。子どものことを一緒に考えるための入り口です。

保育士が保護者に家庭のことを聞くと保育が変わる流れをまとめたフロー図。園での姿を見る、家庭での姿を聞く、ふたつを合わせる、関わり方を変えるという4つのステップ。給食が進まない子も、家で食べられるものが分かれば声のかけ方を工夫できると紹介している。

必要な情報を家庭全体に届ける

必要なことは、どの保護者にも同じように伝えます。

お迎えに来た人にだけ伝えて終わりにせず、家庭に情報が届く形にすることが大切です。

子どもにケガをさせてしまい、お迎えがお母さんだったとき。

私は「お父さんにも直接お話ししたいのですが、今日はお伝えいただいてもよろしいですか」と声をかけていました。

お母さんだけが育児をしているわけではない。そう思っての一言でした。

ただ、いま振り返ると、これはお迎えに来た人を伝言役にしていたとも言えます。

伝言をお願いするだけで終わらせると、家庭にどう伝わるかは相手まかせになります。連絡帳や電話など、園で決められた方法で改めて共有できないか、あわせて考えておくと安心です。

お父さんがお迎えのときも同じです。離乳食で試した食材など、必要な確認は普通にしていました。

お父さんだから聞かない、お母さんにだけ確認する。そうではなく、必要なことはどの保護者にも共有し、確認する。

当たり前のようでいて、ここがぶれないことが信頼につながります。

保育園の保護者対応で、お迎えに来た人にだけ伝える場合と家庭全体に情報が届く場合を比較した図。家族にも伝わるようにお願いする、離乳食の確認はどの保護者にも同じように行うなど、必要な情報が家庭に届く伝え方を紹介している。

保護者対応で失敗しやすい場面と対処法

保護者対応で失敗するのは、悪気があるからではありません。

同じ内容でも、伝える順番とタイミングで、受け取られ方は大きく変わります。

ここでは、失敗しやすい3つの場面と、その対処法を整理します。

保育士が保護者対応で失敗しやすい3つの場面と対処法をまとめた図。良かれと思った一言は主語を変える、ケガの報告は順番を大切にする、ひとりで抱え込まず園全体で対応する。失敗するのは悪気があるからではないと伝えている。

良かれと思った一言が誤解される

子どものためを思って伝えた一言でも、保護者には責められたように聞こえることがあります。

以前、同僚が保護者に「もう少しお迎えを早くすることはできますか?」と伝えたことがありました。

その子はまだ赤ちゃんで、離乳食がなかなか進まず、日中も泣いている時間が長い子でした。お昼寝も短く、園で過ごす時間の長さが負担になっているように見えました。

同僚は、子どものことを思って伝えたのだと思います。

でも保護者には「親として責められた」と伝わってしまい、関係がこじれてしまいました。

保護者の気持ちが追いついていないときは、正しい内容でも責められたように聞こえます。

対処法は、保護者を主語にしないことです。

同じ内容でも、子どもの様子を一緒に確認する形にすると、伝わり方が変わります。

保育士が保護者に伝えるとき、責められたと感じやすい言葉と一緒に確認する言い方を比較した図。「家でも見てください」「前にもお伝えしました」ではなく「園ではこのような様子があります」「おうちではどうですか」と伝えるなど、保護者を主語にしない言い換えを紹介している。

伝えにくい内容があるときは、ひとりで言わず、主任や園長に相談してから伝える方が安心です。

ケガの報告は順番と早さが大切

ケガの報告は、事実を伝えるだけでなく、順番と早さも意識します。

まず、ケガをさせてしまったことへのおわびを伝え、そのあとで確認できている事実と、園での対応を説明します。

0歳児クラスで、友だちに顔を引っかかれてしまった子がいました。

傷は小さく見えたので、経緯と、防げなかったことへの謝罪を伝えました。

でも、家でその傷を見たお父さんが強く怒り、園長に伝わって、病院を受診することになりました。

主任には、ケガをしてすぐに伝えていました。けれどそのときは、「よくあるケガ」としての対応で終わっていました。

あとから園長に報告すると、「なぜすぐ言わなかったのか」と言われました。

小さく見えるケガでも、家庭にとっては大きなことがあります。

園内で起きた友だちとのトラブルだと分かっている場合、私は傷を見せる前におわびを伝えるようにしていました。

申し訳ありません。 お友だちとの関わりの中で、ケガをさせてしまいました。 実際に見ていただけますか。

この順番で伝えると、多くの保護者は「全然、たいしたことないですよ」と言ってくれました。

もちろん、そう言ってもらえても、ケガが軽くなるわけではありません。

なお、いつ・どこでできた傷か分からない場合は、原因を決めつけずに伝えます。「園で確認できているのはここまでです」と、分かっていることと分かっていないことを分けて話しましょう。

保育士が保護者にケガを報告するときの順番をまとめたフロー図。ケガがあったことへのおわびを伝える、傷を見せる、事実を伝える、園の対応を伝えるという4つのステップ。分からないことは決めつけず、今後の対応まで伝えること、世間話より先に事実とおわびを伝えることが大切だと紹介している。

なぜ順番が大切なのか。私は保護者になってから、身をもって知ることになりました。

わが子がケガをして帰ってきた日のことです。

「友だちにやられた」と聞いて、園に電話しようか迷いました。少し待ってみようと思っていたところ、担任の先生から電話がかかってきました。

夕方の16時ごろ。下の子をおんぶして、ご飯を作ろうとしていたときでした。

ところが、最初に話されたのはケガのことではなく、その日の子どものおもしろかった話でした。

その話、いつまで続くんだろう。 この用件だけで電話してきたのかな。

普段ならうれしい話です。でもそのときは、そう思ってしまいました。

話がケガのことに切り替わった瞬間、私はほっとしました。

そのあとで、子ども同士のやりとりの中で起きたこと、わが子も手が出ていたこと、相手の保護者にも伝えていることを聞きました。

そこまで聞いて、やっと状況が分かりました。

電話のあとで子どもに確認すると、先生の説明とは違う話が返ってきました。子どもには、その子なりの見え方があります。だからこそ、子どもの言葉だけで判断せず、園で確認した事実を早めに共有することが大切です。

あれから何年も経ちます。

それでも、あのときの自分の感情も、少し機嫌が悪かったことも、はっきり思い出せます。

保護者にとって、一本の電話はそれだけ記憶に残ります。

だからこそ、たわいもない話より先に、事実とおわびを伝えてください。

順番と同じくらい、早さも大切です。

顔や頭のケガは、園の事故対応基準に沿って、早めに共有しましょう。

私自身、顔や頭をぶつけたときには、いつでも迎えに行ける状況だったので電話で一報がほしかったと思ったことがあります。

お迎えまで何も知らずにいるより、先に知っておきたい。保護者はそう思っています。

保護者がケガの報告で知りたいことは、次の6つです。

保護者が保育園からのケガの報告で知りたいことをまとめた図。いつどこで起きたかの日時と場所、ケガの部位と程度、何をしていたときに起きたか、相手の家庭にも園から伝えているか、その後の対応、病院を受診したかどうかの6つ。事実を整理して落ち着いて共有することが保護者の安心につながると紹介している。

クレームはひとりで抱え込まない

保護者からのクレームは、園全体で対応するものです。あなたひとりの責任ではありません。

「私の対応が悪かったのかな」 「明日から顔を合わせづらいな」

そう考えて、落ち込んでしまうこともありますよね。

でも、クレームやトラブルは、保育士個人ではなく園として対応するものです。

保育士が保護者からクレームを受けたときの流れをまとめたフロー図。ひとりで抱え込まない、情報を共有する、園として対応方針を決める、園から保護者へ伝える、その後もチームで見守るという5つのステップ。クレームは個人の問題ではなく園全体の課題だと紹介している。

落ち込む気持ちは、そのままで大丈夫です。

でも、対応は園全体で考えていい。

ここを忘れないでください。

クレーム対応を現場任せにする園もあります。園の体制そのものに違和感があるなら、クレーム対応を現場任せにする園など、働きにくい職場の特徴もあわせて確認してみてください。

新人・パート・フリーの保護者対応

保護者対応は、ひとりで完璧にしなくて大丈夫です。

立場によって、どこまで対応するかは変わります。迷ったら園全体につなぐことが、どの立場でも正しい対応です。

保育園での保護者対応の役割を立場別にまとめた表。新人は自己判断せず報告する、パートは把握していない経緯を断定せず担任につなぐ、フリーはクラス間で情報を共有する、担任は家庭と継続的に共有する、主任や園長は難しい説明やクレーム対応を引き取る。

迷ったら自己判断せずつなぐ

新人保育士がいちばん大切にしたいのは、自己判断で答えないことです。

分からないことを分からないまま答えるより、確認してから伝える方が、保護者にとっても正確です。

2年目のとき、食事の配膳を間違えたことがあります。

アレルギー対応が必要な子に、別の子の食事を配ってしまいました。

幸いアレルギー反応は出ませんでしたが、保護者への説明が必要でした。

そのとき主任がまずしたのは、保護者の職場へすぐに電話を入れることでした。

お迎えのときに詳しく説明したいこと。今のところ症状は出ていないこと。何か変化があれば、また連絡すること。

その3つを、先に伝えてくれました。

そして退勤時間を過ぎていたのに、当たり前のように一緒に残って、お迎えのときにすべての説明と謝罪をしてくれました。

失敗しても、ひとりで保護者の前に立たなくていい。あのときの主任の姿から、そう教わりました。

だから私は、後輩がミスをしたときは、自分も一緒に残るようになりました。

パートやフリーの立場では、自分が見ていない場面の話を求められることがあります。そのときは、経緯を断定せずに担任へつなぎます。

保護者から悩み相談をされたときも、やんわり受け止めつつ、担任につなぎます。

ただし、なんでも「大丈夫ですよ」と流さないことも大切です。支援につながる、大事なタイミングかもしれません。

下の子が生まれたばかりで、上の子が荒れていた家庭がありました。

気になって保護者に声をかけたところ、お母さんが泣いてしまったことがあります。

そのことを主任に報告すると、下の子の一時保育をすすめてみようという話になりました。お母さんがひとりになれる時間を作れるように、園全体で考える流れになったのです。

受け止めて、つなぐ。

それだけで、家庭を支えることにつながる場合があります。

園が守ってくれないと感じたら

相談しても園が動かないなら、それはあなたの問題ではなく、園の体制の問題です。

主任や園長に相談する。園全体で対応してもらう。

それが本来の形です。

でも、

相談しても園が動いてくれない。 保護者対応を、いつも個人任せにされる。 クレームがあっても、現場の先生だけで対応する空気がある。

そんな状態が続いているなら、保育士個人の問題ではありません。

無理に転職をすすめたいわけではありません。

ただ、あなたを守ってくれない環境で、ひとり頑張り続ける必要はありません。

職員同士の関係もしんどくなっているなら、職員同士の関係を立て直す方法と、距離の取り方も参考にしてみてください。

保育士の保護者対応のよくある質問

ここでは、保護者対応で迷いやすいことをまとめます。

子どもの話と、実際の状況が食い違うときはどうすればいいですか?

子どもの話は、その子の世界では本当のことです。ただ、事実とは違うこともあります。

子どもに確認するときは、話を否定せず「そうだったんだね」と受け止めてから、園でも状況を確かめましょう。

保護者に伝えるときも、子どもの言葉だけを根拠にせず、園で確認した事実とあわせて伝えると、行き違いが起きにくくなります。

保護者に「前の先生はやってくれた」と言われたらどうすればいいですか?

その場で「できます」とも「できません」とも答えなくて大丈夫です。

「確認してからお返事します」と伝えて、主任や園長に園としての対応を確認しましょう。

個人の判断で受けてしまうと、あとから園全体で対応できず、行き違いが大きくなることがあります。

苦手な保護者と、担任として1年間関わるのがつらいときはどうすればいいですか?

ひとりで抱えず、対応を分ける方法があります。

複数担任なら、報告の役割を交代してもらう。伝えた内容をその日のうちに担任間で共有する。送迎の対応をいつも同じ人が引き受けない。

こうした形にできないか、主任に相談してみてください。

苦手な気持ちそのものを、なくそうとしなくて大丈夫です。

連絡帳に何を書けばいいか分からないときはどうしたらいいですか?

連絡帳は、書ける文字数が限られています。あれもこれもと詰め込むより、その日の場面をひとつだけ具体的に書く方が伝わります。

「楽しそうでした」よりも、「◯◯のとき、△△と言っていました」のように、場面が浮かぶ書き方にしてみてください。

保護者対応がつらくて仕事を辞めたいと思うのは、甘えですか?

甘えではありません。

ただ、保護者対応そのものがつらいのか、園が個人任せにしていることがつらいのかは、分けて考えてみてください。

園の体制が原因なら、環境を変えることで解決する場合もあります。

保護者とLINEやSNSでつながってもいいですか?

在園中は慎重にした方が安心です。

個人的にLINEやSNSでつながると、ほかの保護者から見た公平性に関わることがあります。園のルールを確認し、自分だけで判断しないようにしましょう。

くわしくは保育士と保護者のプライベートな距離感で解説しています。

まとめ:保護者対応はひとりで完璧にしなくていい

保護者対応は、全員に好かれるためのものではありません。

苦手な保護者がいても、おかしくありません。相性もありますし、保護者にも家庭や仕事、育児の背景があります。

この記事でお伝えしたことをまとめます。

  • 子どもを真ん中に置く
  • 全員に好かれようとしない
  • 伝えにくいことは、園の方針として伝える
  • 子どもの姿と、保護者の頑張りを言葉にする
  • ケガは、おわび・事実・園の対応の順で、早めに共有する
  • 迷ったらひとりで判断せず、園全体につなぐ

保育士の言葉は、保護者の中に長く残ります。

私自身、何年も前にかかってきた一本の電話を、いまだに思い出します。担任の先生がかけてくれた「お母さんすごい」という言葉も、同じように覚えています。

保護者対応が苦手でも、いいんです。ただ、子どもを真ん中にした関わりだけは、大切にしてみてください。

明日のお迎えのとき、その日の子どものかわいい姿をひとつだけ伝えてみる。

そんな小さな一歩から、保護者対応は少しずつ楽になっていきます。

それでも保護者対応がつらいときは、まず主任や園長に相談してみてください。

そのうえで、誰がどこまで対応するのかを整理できると、ひとりで抱える場面は減ります。

相談しても改善せず、個人任せの状態が続くようなら、ほかの園がどうしているかを知っておくのもひとつの方法です。

保育士向けの転職サービスには、園の職員体制や保護者対応の進め方を、事前に確認してもらえるところもあります。それぞれの特徴は、悩みや希望に合う保育士向け転職サービスの比較で確認できます。

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