新卒で入った幼稚園で、私は園長から何をしても怒られていました。朝から帰るまで、いつ何を言われるか分からない。子どもたちの前で怒鳴られる日もありました。
この記事では、その中で実際にあったことを書きます。新人しかいない時間にかかってくる電話。聞いても聞かなくても怒られる質問。ほこりひとつで始まる犯人捜し。
ひとつずつ取り出せば小さく見えるかもしれません。それでも、何をしても怒られる日々にこうした出来事が重なり、私は出勤できなくなりました。
- 園長から実際に受けていたこと(電話・質問・犯人捜し・いただきもの)
- 入職前から感じていた違和感
- 限界が来た日に何が起きたか
- 出勤できないまま退職した方法
- いま同じ状況にいる人にできること
園長のパワハラで実際にあったこと
何をしても怒られる毎日でした。ここでは、その中で実際にあったことを書きます。
先に書いておきます。この出来事ひとつだけを取り出して、パワハラだと判断しているわけではありません。
ただ、こうしたことが重なり、私は出勤できなくなりました。

新人しかいない時間にかかってくる電話
朝いちばん、新人しかいない時間帯に園へ電話がかかってきました。
出ると、「元気が足りない。抜き打ちチェックでかけただけ」と言われました。
用事があるわけではなく、遅刻の確認でもありません。新人しかいない時間に、声の元気さだけを指摘して切る。それだけの電話でした。
出勤してからも、次にいつかかってくるんだろうと考えていました。
聞いても、聞かなくても怒られた
分からないことがあって園長に確認すると、「今忙しいって見てわからない?」と怒られました。
それなら、と聞くタイミングを見計らっているうちに分からないまま進めていると、今度は「わからないことはすぐ聞きなさい」と怒られます。
どちらにしても怒られました。

同期が同じように質問しているところを見たことがあります。そのときは、ちゃんと答えていました。それを見た日のことは、今でも覚えています。
ほこりひとつで始まる犯人捜し
掃除のあと、床にほこりが落ちているのが見つかると、**「掃除したのは誰だ」**と全体に向けて声がかかりました。
名前を呼ばれるわけではありません。全員がいる場で問いかけられて、名乗り出るしかありませんでした。
その場にいる全員の前で、自分から手を挙げる形になります。
叱られること自体より、名乗り出るまでの数秒がつらかったのを覚えています。
いただきものを断ったら怒られた
保護者からいただきものを差し出されたことがありました。
**「保護者からの特別扱いはしない」**と言われていたので、私はその場で断りました。
そのあと、園に協力してくれている保護者だったと分かり、**「厚意を無駄にするな」**と怒られました。
言われたとおりにしても怒られる。何が正解なのかが分からなくなっていきました。
共通していたこと
どれも、単独では「それくらい」と言われそうなことかもしれません。
ただ、正解がどこにあるのか分からないまま、毎日を過ごすことになりました。気をつけても防げないので、緊張が抜ける時間がありません。
入職前から感じていた違和感
振り返ると、入職する前から、おかしいと思う場面はありました。
当時の私は、その違和感をうまく言葉にできませんでした。
面接で聞かれたこと
就職試験の面接で、宗教の有無と家族の職業を聞かれました。
当時は「そういうものなのかな」と思っていました。ただ、どちらも、厚生労働省が「適性・能力に関係のない事項」として、採用選考時に把握しないよう求めている内容です。
当時、私が通っていた養成校では、就職活動は1件ずつ受けるよう指導されていました。
先生からは、「先輩たちが頑張ってきたから、今これだけ求人票をもらえている。あなたたちも後輩につなげられるように、園との信頼関係を損なうことはしないように」という話もされていました。
そのため私自身も、複数の園を比べて選ぶという感覚がなく、内定をもらったあとに「やっぱり違う」と断る発想はありませんでした。
今の就職活動がどうなっているかは分かりません。ただ、もう少し学生側も園を比べて選べる形だったら、当時の私は面接で感じた違和感を立ち止まって考えられたのかもしれません。
研修中に感じていたこと
卒業前から、研修でその園に通っていました。
服装や髪色、電話対応、退勤時間まで細かな決まりがありました。新人は早く出勤し、電話にも率先して出る。帰りも、自分だけ先に帰れる雰囲気ではありませんでした。
周りの友達が卒業まで遊び回る中、私だけ黒髪にスーツで朝早く家を出る毎日。働き始める前から、どこかおかしいと感じていました。
それでも同期と励まし合いながら、なんとかやっていました。
限界が来た日
辞めようと決めたのではなく、体のほうが先に止まりました。

先輩の声かけで涙が止まらなくなった
ある日の帰り、先輩が声をかけてくれました。
その瞬間、ずっと我慢していた涙があふれ、過呼吸を起こしてしまいました。
そこに現れた園長は、「なに!?泣いてるの!?」とまた怒りました。そのあと、上の立場の人から病気だというような言葉を投げられました。責められているように感じたのを、今でも覚えています。
職場で泣いてしまったことが恥ずかしくて、先輩にも同期にも「大丈夫です。泣いてしまってすみません!」と答えました。あのときの自分を、今なら抱きしめてあげたいと思います。
次の日も出勤しました。笑顔で明るく振る舞い、怒られても反論せず、健気に頑張っていました。
お弁当を作り終えた朝
ある日の朝、いつものようにお弁当を作っていました。
完成して、よし、とひと息ついた瞬間。涙がポロポロとこぼれてきました。
自分でも「えっ?泣いてる?なんで?」という感じでした。でも止まらなくて、止めようとすればするほど泣けてきて、そのまま過呼吸になりました。
「あぁ、もう限界だ。」
母に電話しましたが、呼吸が苦しくて声が出ませんでした。それでも母は察してくれて、「今日は代わりに連絡するから、休みなさい」と言ってくれました。
子どものころ以来、私が泣きじゃくる声を聞いた母は、相当驚いたと思います。
その日から、一度も出勤はできませんでした。出勤しなきゃと考えるだけで過呼吸になってしまうのです。
一度だけ、園側の人と話す機会がありました。そのとき残された「病気だなんて聞いてなかったから……」という言葉を、私は「病気とわかっていたら採用しなかったのに」と言われているように受け取りました。
パニック障害と診断された
この頃の私は、ふとした瞬間に涙が出て、過呼吸を起こし、人混みや電車のような閉鎖された空間が怖くなっていました。
その後、パニック障害と診断されました。
診断や治療の内容は人によって違います。ここに書いているのは個人の体験です。
心療内科の先生に言われたのは、「退職したらきっとすぐ治るよ」という言葉です。もちろん、回復の早さは人によって違うと思います。
それでも私の場合は、職場から離れたことで少しずつ症状が落ち着いていきました。息ができないように感じる苦しさや、周りに迷惑をかけてしまうつらさは本当に大きかったです。
出勤できないまま辞めた
診断書と退職届を郵送して辞めました。
職場に連絡できない状態だった
当時の私は、退職するなら職場へ行って自分で伝えなければいけないと思っていました。
でも、職場を思い浮かべるだけで過呼吸になり、電話をかけることも、出向くこともできませんでした。
「ちゃんと伝えないといけない」と思うほど、体が動かなくなります。そのときの私には、それしかできなかったのです。
郵送で辞めるという選択
診断書と退職届を郵送しました。

手続きとしては、それで終わりました。ただ、気持ちはまったく落ち着いていませんでした。誰かに相談する余裕もなく、まずは職場から離れることで精一杯でした。
手続きとしては郵送で完了しましたが、一人で抱え込まなくていいと、今なら思います。
辞めたあとのこと
退職してからは、過呼吸がほとんど出なくなり、最初は怖かった人混みも少しずつ平気になっていきました。
心を許せる友達にたくさん会って、なるべく1人にならないようにしていました。周りもかなり気を遣ってくれていたと思います。
ただ、そのあと私立認可保育園で働き始めるまでには、1年近くかかりました。派遣のアルバイトを経て託児所に入り、そこで「合わなかったのは保育士という仕事ではなく、あの職場だったんだ」と気づきました。
そこから認可保育園に入るまでの流れは、新卒1か月で辞めたあとの話にまとめています。
いま同じ状況にいる人へ
「これくらい」と自分だけで判断しなくて大丈夫です。つらさが続いているなら、パワハラかどうかを自分で確定する前に相談できます。
「それくらい」で流さなくていい
私がされていたことは、どれも単独では小さく見えます。人に話しても伝わらないだろうと思って、当時は誰にも言えませんでした。
でも、気をつけても防げないことが毎日続くと、緊張が抜ける時間がなくなります。私の場合はそれで出勤できなくなりました。
法律上パワハラに当たるかどうかを、ここで判断することはできません。ただ、当たるかどうかを自分で決めてから動く必要はないと思います。
覚えていることだけでも残しておく
いつ、何を言われたか。そのとき誰がいたか。
思い出せる範囲で書き留めておくだけでも、状況を整理しやすくなります。証拠として完璧である必要はありません。
相談先の選び方や、相談するときに何を準備すればいいのかは保育士がパワハラを相談できる窓口をまとめた記事に詳しく書いています。
園長のパワハラのよくある質問
園長のパワハラで悩む人からよく出る疑問をまとめました。
園長のパワハラで辞めるのは甘えですか?
甘えではありません。私自身、毎日のように怒られ続け、最後は出勤前に涙や過呼吸が出るようになりました。心身に不調が出ているなら、無理に続けることだけが正解ではないと、自分の体験から感じています。
診断書と退職届を郵送して辞めてもいいですか?
私は、診断書と退職届を郵送して退職しました。ただし、必要な手続きは雇用契約や就業規則などによって異なります。私と同じ方法がすべての人に当てはまるわけではありません。
パワハラの証拠がなくても相談できますか?
できます。いつ、どんなことを言われたか、誰がいたか、そのとき自分がどんな状態だったかをメモしておくだけでも、状況を整理しやすくなります。
園長のパワハラで辞めたら、もう保育士には戻れませんか?
そんなことはありません。私も一度は現場から離れましたが、そのあと認可保育園で10年働き、いまは保育士14年目です。合わなかったのは「保育士」という仕事ではなく「その職場」でした。
園長のパワハラはどこに相談すればいいですか?
労働局の総合労働相談コーナーや、自治体の労働相談窓口などがあります。園長本人が加害者の場合は園内で相談しにくいこともあるため、外部の相談先も知っておくと選択肢が増えます。
まとめ:園長のパワハラは我慢しなくていい
ひとつひとつは小さく見えても、つらさが続いているなら、一人で抱えず相談して大丈夫です。
今振り返ると、私の体はかなり前から限界のサインを出していました。
- 出勤前になると息苦しくなる
- 職場のことを考えるだけで涙が出る
- 怒られた場面を思い出すだけで体が固まる
- 休みの日も、次の出勤のことが頭から離れない

当時の私は「新卒だから弱音を吐いてはいけない」「みんなも頑張っている」と思い込んでいました。でも、体に症状が出ているなら、気合いで乗り越える段階をすでに超えているのだと思います。
心身の不調が強くなる前に、誰かに話す、受診する、仕事を休む、辞める準備をする。今できそうなものを一つ選ぶだけでも構いません。
もう話すことも考えることも無理という状態なら、まず職場から離れることを優先していいと思います。私の場合、退職してからしか回復できませんでした。
園長のパワハラで苦しんでいると、自分が悪いように感じてしまうことがあります。でも、体が限界を知らせているなら、その声を無視しないでください。
今の園以外にどんな職場があるのかを知っておきたくなったら、条件ごとに比べたページを用意しています。

