保育士の時短勤務はいつまで?正職員のままでいられる条件と給料

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「時短勤務を使いたい。でも、早く帰ったら誰かに迷惑がかかる」

そう思って言い出せないまま、フルタイムを続けていませんか。

保育士も、条件を満たせば時短勤務を使えます。

制度としては、はっきり認められています。ただ、実際に続けられるかどうかは、園の人手やシフトの組み方によって変わります。

この記事では、時短勤務を使ったあとフルシフトに戻り、6年のブランクを経てパートで復帰した私が、制度と現場の両方から見てきたことを書きます。

働き方を短くすることをすすめる記事ではありません。続ける道も、変える道も、どちらも現実的な選択です。

この記事でわかること
  • 保育士が時短勤務を使える条件と、正職員のままでいられるかどうか
  • 時短勤務でも担任を持てるのか
  • 時短が終わったあと、働き方がどうなるのか
  • 時短・パート・フルタイムで、お金と時間がどう変わるのか
  • 働き方を変えるかどうかを決める前に、確認しておきたいこと
目次

保育士の時短勤務は使える

保育士も、3歳未満の子どもを育てているなら、原則として時短勤務を利用できます。「保育士だから使えない」という決まりはありません。

ただ、制度が使えることと、その働き方を無理なく続けられることは別の話です。

子育て中の保育士が選べる働き方は、大きく3つあります。

  • 正職員のまま、時短勤務を使う
  • フルタイムで働く
  • パートなど、勤務条件を変える

この記事では、それぞれで何がどう変わるのかまで見ていきます。

子育て中の保育士が選べる3つの働き方。正職員のまま時短勤務で勤務時間を短くする、フルタイムで早番・遅番を含めて働く、パートで勤務時間や日数を調整して働く。大切なのは使える制度だけでなく、無理なく続けられる条件

保育士の時短勤務は3歳未満が対象

育児・介護休業法では、3歳未満の子どもを育てている人が申し出た場合、勤務時間を短くする制度を用意することが、勤め先の義務とされています。

その中には、1日の勤務時間を原則6時間とする形を含めなければならないと決められています。

つまり、「うちは保育園だから無理」という理由だけで断ることはできません。

ただし、働き始めて1年未満の人など、一部の人は労使協定によって対象から外れることがあります。自分が当てはまるかどうかは、園の就業規則で確認してください。

使えるかより、続けられるかが問題

制度が使えると分かっても、不安が消えるわけではありません。

  • 早番や遅番のシフトはどうなるのか
  • 担任からは外れるのか
  • 自分が早く帰ったあと、誰がその時間を埋めるのか
  • 子どもが3歳になって時短が終わったら、また元の働き方に戻るのか

これらは制度の条文には書かれていません。園ごとの体制によって答えが変わる部分です。だからこそ、制度を確認したうえで、続けられる条件がそろっているかまで見ておく必要があります。

次の章では、時短勤務が「できない」と感じやすくなる理由を、ひとつずつ見ていきます。

時短勤務が「できない」理由

時短勤務が続けにくいと感じるのは、あなたの努力が足りないからではありません。

保育園は朝早くから夜まで開いていて、時間帯ごとに必要な職員の数が決まっています。そこに勤務時間の短縮が入ると、制度と現場のシフトが噛み合わなくなることがあります。これは働く人ひとりの問題ではなく、園がどう人を配置しているかの問題です。

ここでは、時短勤務が難しいと感じる4つの理由を見ていきます。

保育士が時短勤務を続けにくい4つのポイント。雇用上の正職員と配置基準上の常勤の扱いがわかりにくい、早番・遅番があるためシフトと時間が合いにくい、早く帰ったあとの人員が気になる、時短が終わったあとの働き方が見えにくい。どれも本人の努力だけでは変えられない条件

時短勤務でも正職員・常勤でいられる

時短勤務を利用しただけで、正職員からパートへ自動的に変わるわけではありません。

ただし、雇用上の「正職員」と、保育園の職員配置で数える「常勤保育士」は別のものです。ここが混同しやすいところです。

配置基準というのは、子どもの人数に対して保育士を何人置くかという国の決まりです。その人数に数えられるのは、原則として常勤保育士とされています。だから「時短にすると人数に数えてもらえないのでは」という不安が出てきます。

ですが、こども家庭庁の通知には、こう書かれています。育児・介護休業法にもとづいて1日の勤務時間を6時間にして、月20日勤務する場合は、常勤保育士に当てはまります。

つまり、1日6時間・月20日の勤務なら、時短勤務でも配置基準上は常勤保育士に当てはまるということです。

さらに2024年6月、こども家庭庁から「勤務時間短縮保育士」の取扱いを示す通知が出ました。

これまでその園で常勤保育士として働いてきた人が、おおむね10歳未満の子どもの子育てや家族の介護などを理由に、1か月の勤務時間が120時間未満になる場合が対象です。園の条件が整っていれば、1日6時間より短くても、配置基準の人数に入れられます。

条件は主に2つです。それぞれのクラスに常勤保育士が1人以上いること。もう1つは、常勤保育士の代わりに入る場合、その勤務時間が常勤保育士を置いた場合を上回ることです。

つまり、育児のために6時間を切っても、園の体制しだいでは配置の人数から外れずに済むということです。

保育士の時短勤務に関わる3つの制度の対象年齢。育児・介護休業法の短時間勤務措置は3歳未満で1日6時間を含む制度を事業主が用意、柔軟な働き方を実現するための措置は3歳から就学前で園が5つの措置から2つ以上を用意して本人が1つを選ぶ、勤務時間短縮保育士はおおむね10歳未満の子どもの子育て等で条件を満たせば6時間未満でも配置基準の人数に含められる

この通知は、園に相談するときの根拠として使えます。原文はこども家庭庁のサイトで読めます。

こども家庭庁「保育所等における勤務時間短縮保育士の定義及び取扱いについて」(令和6年6月25日通知)

早番・遅番と時短勤務は噛み合いにくい

一般の会社なら「16時で退勤」と決めれば済みますが、保育園はそう単純にいきません。

開園の準備、登園の受け入れ、日中の保育、降園、そして延長保育まで、時間帯ごとに必要な人数が決まっています。誰かが早番に入らなければ園は開きませんし、遅番がいなければ閉められません。

時短勤務の人が固定の時間帯で働くと、その分、早番と遅番を回す人が減ります。これは時短勤務を使う人の問題ではなく、園全体でシフトをどう組むかという問題です。

私自身、上の子が1歳になるまで時短勤務を使っていました。当時の園では固定の勤務時間で、1時間ほど早く退勤する形でした。早番も遅番も免除されていたので、生活は回っていたと思います。

保育園のシフトと時短勤務が噛み合いにくい理由。開園時間が7時から19時に対して、早番は6時45分から15時45分、遅番は10時15分から19時15分。時短勤務を9時から16時の固定時間にすると、朝7時から9時と夕方16時から19時は、ほかの職員がカバーする時間帯になる

「しわ寄せ」が起きるかは園の人手しだい

時短勤務を使うこと自体が、迷惑なのではありません。

ただ、人手に余裕のない園では、誰かが早く上がれば別の誰かがその時間を埋めることになります。だから「申し訳ない」と感じるのは、気の持ちようが足りないからではなく、実際にそういう構造があるからです。

一方で、国が定めている配置基準より多めに職員を置いている園もあります。そういう園では、誰かが早く上がっても別の誰かが無理をする必要がありません。お互いさま、で回っていきます。

そうした園では、時短勤務をしながら複数担任のクラスに担任として入り、生き生きと働いている先生もいます。

時短勤務を使う人が気兼ねなく働けるかどうかは、本人の性格だけではなく、周囲の受け止め方や園の人員体制にも左右されます。

だから、「申し訳なく思わないようにしよう」と自分に言い聞かせても、なかなか楽になりません。気を遣えば遣うほど楽になるものでもありません。気を遣わずに済む条件がそろっているかどうかが先にあります。

園を選ぶときや、今の園に相談するときに見ておきたいのは、時短の制度があるかどうかだけではありません。その制度が回るだけの人がいるかどうかです。配置基準に対して実際に何人置いているかは、見学や面接で聞けます。

時短勤務の続けやすさを左右する園の体制。人員配置は欠勤や早退があっても人数を調整できるか、シフトは早番・遅番が一部の職員に偏らないか、複数担任は担任の仕事を複数人で分担できるか。ポイントは誰か一人に負担が集中しない体制かどうか

時短勤務はいつまで使える?

「何歳まで使えるか」と同じくらい大事なのが、終わったあとに何時から何時まで働くことになるかです。

法律で定められた時短勤務は、原則として3歳未満が対象です。ただ、3歳を過ぎたら必ずフルタイムに戻る、というわけではありません。

2025年10月から、3歳から小学校入学前の子どもを育てている人について、新しい決まりが始まりました。

園は次の5つの中から2つ以上を用意し、働く人がその中から1つを選べるようにしなければなりません。

  • 始業や終業の時刻を変えること
  • テレワークなど(月10日以上)
  • 保育施設の設置や運営など
  • 子育てのために使える休暇(年10日以上)
  • 短時間勤務の制度

この中に短時間勤務が入っているので、3歳以降も時間を短くして働ける可能性はあります。
ただし、園が5つのうちどれを用意しているかによります。
テレワークは、子どもと直接関わる保育士の仕事では使いにくい措置です。どの制度を用意しているかは、勤務先に確認してください。

制度の詳しい内容は、厚生労働省のサイトにまとまっています。園に相談するときの根拠として使えます。

厚生労働省「柔軟な働き方を実現するための措置」(育児休業制度特設サイト)

ここで、私自身のことを書きます。

9年ほど前、私が勤めていた園では、時短勤務は子どもが1歳になるまででした。1歳の誕生日を境に、早番と遅番を含むフルシフトに戻りました。

早番の日は5時に起きて、家族が起きる前の6時15分に家を出ていました。遅番の日は19時15分に退勤して、19時半すぎに帰宅すると、夫と子どもはお風呂も食事も済ませていました。自分の分を済ませると20時半。21時には寝るので、子どもと関われるのは30分ほどでした。

育休から復帰して、10か月後に私は退職しました。

時短勤務が終わる前に確認したい3ステップ。STEP1は今の時短勤務がいつまでか就業規則や園の制度で終了時期を確認、STEP2は3歳以降に使える制度があるか園が用意している措置を確認、STEP3はどんな働き方なら続けられそうか。時短を続ける、フルタイムに戻る、勤務形態を変えるの3つから考える

今の職場には、時短勤務を使っている先生がいます。同じ業界でも、園によって用意されている制度が違うということです。

だから、時短を申し出るときには「いつまで使えますか」だけでなく、「終わったあとは何時から何時までの勤務になりますか」まで聞いておいてください。そこまで分かって初めて、続けられるかどうかを考えられます。

時短・パート・フルタイムの違い

勤務時間を短くすると、変わるのは給料だけではありません。

シフト、担任の持ち方、休みの取りやすさ、そして家庭で使える時間まで変わります。お金だけを見て決めると、あとから「思っていた働き方と違った」となりやすい部分です。

ここでは、給料の変化と担任の扱いを確認したうえで、3つの働き方を並べて比べます。

働き方を比べるときに見る3つのポイント。給料・年収は勤務時間が短くなると収入も変わる、担任・仕事内容は時短でも担任を持てないという決まりはない、勤務時間・生活は勤務時間が変われば仕事以外の時間も変わる。働き方を変えると変わるのは勤務時間だけではない

時短勤務の給料・年収はどうなる?

勤務時間が短くなった分、給料も下がるのが基本です。

どれくらい下がるかは、園の賃金規定によって変わります。時間に応じて計算する園が多いですが、手当の扱いや賞与の計算方法は園ごとに違います。就業規則を確認してください。

そのうえで、知っておきたい制度があります。育児時短就業給付金です。

2025年4月に始まった、雇用保険の制度です。名前は難しいですが、中身はこういうものです。

つまり、育児のために勤務時間を短くして給料が下がった人に、雇用保険から少し補てんされる制度です。

対象になりそうかは、まず次の4点から確認できます。

育児時短就業給付金の対象になるか確認するチェックリスト。子どもが2歳になっていない、雇用保険に加入している、育児のために勤務時間を短くした、時短勤務後の賃金が時短前より下がった。4つとも当てはまれば対象になる可能性、当てはまらない項目があれば条件を個別に確認。シフト勤務でも時短前後の労働時間をもとに確認される場合がある

保育士に関係が深いのは、シフト制でも対象になりうる点です。毎日の勤務時間がバラバラでも、実際の労働時間から1週間あたりの平均を出して、短くなったことが確認できれば「育児時短就業」として扱われます。なお、給付を受けるにはほかの受給要件もあります。

金額の目安は、時短勤務中に支払われた給料の10%ほどです。給料の下がり方によって割合は変わり、上限額も決められています。実際に支給されるかどうか、いくらになるかはハローワークが判断します。

実際にいくら変わるのかは、月給と勤務時間を入れると目安が出ます。配置基準の上で常勤に当てはまるかどうかも、同時に確認できます。

30秒でわかる

あなたの場合はどうなる?

今の働き方と、短くしたあとの働き方を入れてください。お金と時間がどう変わるか、配置基準の上で常勤に当てはまるかどうかが分かります。実際の金額は園の規定によって変わります。

手取りではなく、引かれる前の金額を入れてください

お金

短くしたあとの月給
今より減る金額
育児時短就業給付金の目安子が2歳未満
給付金を含めた合計

時間

短縮後
1日の勤務で短くなる時間
1か月で仕事に使う時間の差

空いた時間で何ができるかは家庭によって違います。同じように、減った収入で諦めることが出てくる場合もあります。どちらを重く見るかは、今の暮らしによって変わります。

あなたはどの扱いになる?

この試算はあくまで目安です。月給は勤務時間に比例して計算しています。実際の金額は園の賃金規定によって異なり、手当や賞与の扱いも園ごとに違います。

育児時短就業給付金の正確な支給額と支給の可否は、ハローワークが判断します。上限額と下限額は毎年見直されるため、この試算では反映していません。園に相談する前に、下の一次情報も確認しておくと安心です。

このツールは、勤務時間を短くすることをすすめるものではありません。今の働き方を続ける判断も、同じように現実的な選択です。

制度の詳しい内容と手続きは、厚生労働省のサイトで確認できます。申請は園を通して行うのが基本なので、園に相談するときの資料としても使えます。

厚生労働省「育児時短就業給付金」(PDF)
要件と手続きが1枚にまとまっているので、園に相談するときの資料として使えます
手続きや自分が対象になるかは、お住まいの地域のハローワークで確認できます

時短勤務でも担任を持てる?

時短勤務だから担任を持てない、という決まりはありません。

実際に担任を持てるかどうかは、勤務時間や園の体制、複数担任のクラスかどうかによって変わります。ひとりで担任を持つクラスだと難しくても、複数担任なら入れる場合があります。

ここで、意外に思われるかもしれない話をひとつ。

先ほど紹介した「勤務時間短縮保育士」の通知には、担任を務める場合の待遇についての記載があります。グループの担任を務める勤務時間短縮保育士について、同じく担任を務める常勤保育士との間に、不合理な待遇の差を設けないように、という内容です。

つまり国の通知は、時短勤務の人が担任を持つことを前提に書かれているということです。「時短だから担任は無理」というのは、制度上の決まりではありません。

実際に、時短勤務をしながら複数担任のクラスに担任として入っている先生もいます。

ただし、担任として何を担うかは変わることがあります。ひとりで受け持つクラスや、クラスのリーダーを任されるのは、フルタイムの人が中心になりやすいのが現実です。勤務時間短縮保育士の通知でも、それぞれのクラスに常勤保育士が1人以上いることが条件とされています。長い時間いる人がクラスの軸になる、という前提です。

とはいえ、担任を持てるかどうかは働き方を決める大きな条件です。担任として子どもたちを一年間見届けたい人にとって、そこを手放すのは小さなことではありません。この点は、後の章でもう一度触れます。

3つの働き方を比べてみる

3つの働き方を並べると、こうなります。

時短(正職員)パートフルタイム
収入時間に応じて下がる時給と勤務時間による短縮による減額はない
早番・遅番園による契約によるありやすい
担任園の体制による補助が中心になりやすい園の体制による
休みの取りやすさ園による契約や園の体制による交代の調整が必要
元に戻すとき制度の終了時期を確認雇用契約の変更が必要

どれが正解ということはありません。今の家庭の状況によって、重く見るものが変わります。

パートに切り替えた場合の時給や月収の考え方は、別の記事でくわしくまとめる予定です。

そして、いちばん変わるのが1日の使い方です。

私自身が実際に働いていた3つの日を並べます。フルタイムの早番、フルタイムの遅番、そしてパートの日です。

保育士として働いた3つの1日の比較。フルタイム早番は5時起床、6時15分に家族を起こさず出勤、15時45分に退勤して子どもと帰宅、買い物と夕飯作り、21時就寝。フルタイム遅番は6時30分起床、9時20分に家を出て19時15分退勤、19時30分の帰宅時には家族は入浴も食事も済み、21時就寝。5時間パートは6時30分起床、8時に子どもを送り出して出発、5時間勤務して退勤、おやつと送迎と外遊び、21時就寝。遅番の日、子どもと関われたのは約30分

早番の日は、5時に起きて家族の朝ごはんを準備し、6時15分に家を出ていました。家族が起きる前です。帰りは15時45分に子どもと一緒に園を出て、抱っこ紐やベビーカーのままスーパーに寄ることもありました。

遅番の日は、19時15分に退勤して19時半に帰宅します。夫と子どもはお風呂も食事も済んでいて、自分の分を済ませると20時半。21時には寝るので、子どもと関われたのは30分ほどでした。

パートになってからは、8時に子どもたちを送り出して、そのあと自分も家を出ます。勤務は8時半から9時15分の間に始まるシフトで、5時間です。子どもが帰ってきたらおやつを食べて、習い事の送り迎えをして、公園に行ったり庭の手入れをしたり。夕食は17時半、家事を終えたあとは21時まで自由な時間があります。

同じ保育士でも、勤務条件で1日の使い方はここまで変わりました。

ただ、パートのほうがいいという話ではありません。増えた時間の分だけ、収入は確実に減っています。どちらを重く見るかは、今の暮らしによって変わります。

両立のつらさは条件で変わる

子育てしながら働くつらさを、すべて自分の気持ちの問題にしなくていいと思います。

私の場合、子どもの年齢、自分の判断の基準、園の雰囲気、そして雇用形態。この4つが変わったことで、抱えていた後ろめたさは大きく減りました。性格が変わったわけでも、覚悟が決まったわけでもありません。

ここからは私自身の体験です。同じ状況でも感じ方は人それぞれなので、ひとつの例として読んでください。

後ろめたさを変えたのは気持ちより条件。子どもの年齢はまだ小さく体調の変化も多かったが、年齢が上がり毎日の登園が当たり前に。自分の判断は熱が出そうと思っても預けて出勤することがあったが、体調が気になる日は無理をさせないと決められた。園の雰囲気は体調が不安なときに相談しにくかったが、熱がなくても体調が悪いと帰りやすかった。働く立場は抜けるとシフトによって誰かに負担がかかったが、抜けても超過勤務を頼まずに済んだ

よその子には言えることが、わが子には

朝、子どもの鼻水が出ている。触ると少し熱っぽい気もする。

「今日は熱を出すだろうな」

そう思いながら、鼻水を拭いて、着替えさせて、一緒に園に向かっていました。休ませる選択肢は、頭の中にありませんでした。

その同じ日、私は職場で、別の家庭の子どもを見ています。微熱がある子がいれば、お迎えのときにこう伝えます。

「無理をさせないで、一度受診してみてくださいね」

言いながら、いつも引っかかっていました。

自分の子には、少しの微熱でも預けているのに。同じことを、自分の子どもにはしてあげられていないのに。

その違和感は、家に帰ってからも消えませんでした。

保育士ママが家族に言われてつらい言葉

後ろめたさは、自分の中だけにあるものではありませんでした。

私は、専業主婦の母に育ててもらいました。その母から、ときどき言われることがありました。

「まだ小さいのにね」

責めるつもりで言ったのではないと思います。それでも、この一言がいちばんしんどかった。

私だってわかってるよ。

口に出したことはありませんが、心の中ではいつもそう返していました。わかっていて、それでも預けているんです。わかっていないから預けているわけではありません。

早退できても、負担のいく先が気になる

子どもが熱を出したという連絡が入って、早退させてもらったことは、正職員のときもパートのときもあります。どちらの園も、快く帰らせてくれました。

違ったのは、帰ったあとのことです。

正職員のときは、その日自分が何番のシフトだったかで、迷惑のかかり方が変わりました。遅番だった日に早退すれば、誰かが勤務を延ばすことになります。だから、帰る前に頭の中で計算していました。

パートになってからは、それがなくなりました。自分が抜けても、誰かに超過勤務をしてもらう必要がありません。

かわりはいくらでもいる。

よくない言い方かもしれませんが、私にとってはそう思えることが、むしろ救いでした。

パート勤務で復帰したら気持ちが変わった

パートで復帰したあとも、私は自分の子どもと同じ園で働いていました。同じ母子同園です。それなのに、後ろめたさはほとんどありませんでした。

理由は4つあったと思います。

  • 子どもの年齢が上がって、毎日登園するのが当たり前になっていたこと
  • 最初の経験から「体調に不安があるときは無理させない」と自分の中で決めていたこと
  • 熱がなくても咳がひどければ休ませられる園の雰囲気があったこと
  • 自分が抜けても誰かに超過勤務をさせずに済む立場になっていたこと

こんなことがありました。

子どもが「頭が痛い」と言っている。熱はありません。食欲も、いつもよりないかな、という程度です。

それを伝えたら、帰らせてもらえました。「病院に行ってね」とも言われず、ただ一言。

「ゆっくりしてね〜」

熱が出るとわかっていながら預けていたころの自分に、この日のことを教えてあげたいと思いました。

わが子と同じ園で働くことについては、母子同園を2回経験してわかったことにまとめています。

条件が変わっても、いまだに答えが出ないことはあります。

職場では、あんなに穏やかに子どもと関われるのに。わが子には、つい声を荒げたり、急かしたりしてしまう。

仕事では本気で鬼ごっこをやります。全力で逃げて、全力で追いかけます。それなのに、うちの子から「鬼ごっこやろう」と誘われると、「えー……」となってしまう自分がいます。

夜、寝顔を見ながら反省する日があります。

ただ、最近は少し違う見方もできるようになりました。よその子にちゃんと優しくできている自分に、少し満足しているところがあります。それができる自分でいられることが、自己肯定感につながっている気がします。

人によっては、逆になることもあるようです。同期に「自分が子どもを産んだら、人の子をかわいいと思えなくなった」と言って保育士を辞めた人がいました。

どちらが正しいということはありません。産んだあとに自分がどうなるかは、なってみないとわからない部分です。

子育てしながら続ける2つの形

働き方を変えることだけが、続ける方法ではありません。

私はパートを選びましたが、正職員のまま子育てを続けている先生もいます。どちらが正しいということはなく、何を大事にしたい時期なのかで答えが変わります。

ここでは、私が選んだ道と、選ばなかった道の両方を書きます。

働き方を考えるときの3つの軸。暮らしは今の勤務時間で家庭は回りそうか、送迎や家事や子どもの体調不良。仕事は続けたい仕事や役割はあるか、担任や仕事内容ややりがい。お金は収入が変わっても家計は回りそうか、月収や賞与や将来の収入。どれを重く見るかは今の時期によって変わる

ブランク後、パートで復帰を選んだ理由

上の子がまだ小さいうちに退職してから、私は6年間、専業主婦をしていました。

復帰を考えたとき、正職員に戻るという選択肢は、最初からありませんでした。

理由は、はっきりしていました。近くに頼れる人がいなかったからです。子どもが熱を出したときに動けるのは自分しかいない。その状態で正職員に戻れば、また同じことになると分かっていました。

家計は、夫の収入だけでもぎりぎり回っていました。貯金と、少しの余裕のために働きたい。それくらいの気持ちだったので、まずは少しずつ始めたいという思いもありました。

私自身、母がいつも家にいる環境で育っています。そのことも、判断に影響していたと思います。

6年のブランクから現場に戻ったときの不安については、6年のブランクを経て保育士に復帰したときの流れにまとめています。

パート勤務で得たものと、手放したもの

得たものは、時間だけではありませんでした。

いちばん大きかったのは、体力の余裕です。仕事が終わったあとに、子育てにも家事にも体力を残しておける。フルタイムのころは、帰ってから夕飯を作るだけで精一杯でした。

休みの融通が利くのも大きいです。家族で予定を合わせて、平日に出かけることもできるようになりました。

一方で、手放したものもあります。

ひとつは収入です。勤務時間が減った分、はっきり減りました。

もうひとつは、担任としてのやりがいです。パートで担任を持つことは、ほとんどありません。クラスを一年間受け持って、子どもたちの成長を最初から最後まで見届ける。あの経験は、いまの働き方では得られません。

だから「パートにすれば解決する」とは思っていません。何を優先したい時期なのかで、答えは変わります。

正職員のまま続けている先生もいる

一緒に働いてきた先生の中には、正職員のまま子育てを続けている人がいました。

疲れはハンパないと思います。それでも、休みがまとまって取れたときには1週間ほどかけて旅行に行っていました。経済力では勝てないな、と思ったことがあります。

仕事の面でも、担任を持ち続けていました。何度も年長クラスの子どもたちを卒園させ、後輩の面倒を見て、育て上げてもいました。

あの充実感には、私が選んだ働き方では届かないと思いました。その先生の表情を見ていれば分かります。

そして、これは書いておきたいことです。

私が短い時間で働けたのは、長い時間を担ってくれる先生がいたからです。誰かが早番で園を開けて、誰かが遅番で最後の子どもを見送っている。その上に、私の働き方が成り立っていました。

保護者としても同じでした。私の子どもが安心して園に通えたのは、そうやって働き続けてくれる先生がいたからです。

働き方を変えることは、逃げではありません。同じように、変えないことも、我慢しているだけではありません。

働き方を変える前に確認したいこと

いま迷っているなら、決める前に確認しておきたいことがあります。

  • 今の園で、時短勤務を使える期間
  • 時短が終わったあと、何時から何時までの勤務になるのか
  • 給料がどれくらい変わるのか
  • 担任など、仕事の内容が変わるのか
  • パートなど、雇用形態を変えられるのか
  • 配置基準に対して、実際に何人置いているのか

最後の項目は、見学や面接でも聞けます。制度があるかどうかより、その制度が回るだけの人がいるかどうかのほうが、続けやすさを左右します。

すぐに答えが出なくても大丈夫です。確認すること自体が、判断の材料になります。

保育士の時短勤務でよくある質問

時短勤務について、迷いやすい点をまとめました。

保育士の時短勤務は何時間ですか?

法律では、1日の勤務時間を原則6時間とする形を含む制度を、勤め先が用意することになっています。
ただし、全員が必ず6時間になるという意味ではありません。実際の勤務時間は、園の制度と本人との取り決めによって決まります。

時短勤務は9時から16時までですか?

決まっているわけではありません。
どの時間帯を短くするか、休憩をどう入れるかは、園によって異なります。保育園の場合、開園や閉園の時間帯に人が必要なので、その園のシフトに合わせた形になります。

育児の時短勤務は正社員のままですか?

時短勤務を利用しただけで、正社員からパートへ自動的に変わるわけではありません。雇用契約の扱いは、勤務先の就業規則を確認してください。
ただし、保育園の職員配置で数える「常勤保育士」に当てはまるかどうかは別の基準があります。1日6時間で月20日勤務する場合は、常勤保育士に当てはまります。

パート保育士も育児の時短勤務を使えますか?

パートだから一律に対象外、ということはありません。
ただし、もともとの1日の勤務時間が6時間以下の場合などは対象外になります。自分が当てはまるかは、園の就業規則で確認してください。

時短勤務でも担任を持てますか?

時短勤務だから担任を持てない、という決まりはありません。
実際に持てるかどうかは、勤務時間や園の体制、複数担任のクラスかどうかによって変わります。

3歳になったら必ずフルタイムに戻らなければなりませんか?

必ずしもそうとは限りません。
3歳から小学校入学前については、2025年10月から、園が5つの中から2つ以上の制度を用意し、働く人が1つを選べる仕組みになっています。その中に短時間勤務も含まれています。園が何を用意しているか確認してください。

まとめ:時短勤務も続け方のひとつ

保育士も、条件を満たせば時短勤務を使えます。1日6時間・月20日勤務なら、配置基準上の「常勤保育士」に当てはまります。担任を持てないという決まりもありません。

それでも「使えない」と感じるとしたら、原因はあなたの勤務態度や気の遣い方ではないと思います。

誰かが早く上がったときに別の誰かが埋めなければならないのは、園の人手の問題です。時短が終わったあとにフルシフトへ戻ることになるのも、園がどんな制度を用意しているかによります。自分の努力だけで変えられる部分は、思っているより少ないんです。

だから、まず確認してほしいことがあります。

  • 時短を使える期間と、終わったあとの勤務時間
  • 給料がどう変わるか
  • 配置基準に対して、実際に何人置いているか

そのうえで、続ける道も、変える道も選べます。

私はパートを選んで、体力の余裕と休みの融通を得ました。そのかわりに、収入と担任としてのやりがいを手放しています。正職員のまま続けて、担任を持ち続けている先生もいます。どちらかが正解ということはありません。

大事なのは、周りに迷惑をかけない働き方を探すことではなく、あなたと家族が無理なく続けられる働き方を見つけることだと思います。

もし、今の園では希望する働き方が難しいと感じたなら、勤務時間や雇用形態から求人を見比べてみる方法もあります。正職員の時短にこだわるか、パートも含めて考えるか、決まっていない段階でも条件から探せます。

保育園や認定こども園は、ひとつではありません。

サービスごとの特徴やエリアの違いは、悩みや希望に合う保育士向け転職サービスの比較でまとめています。

条件から求人を見てみる

レバウェル保育士は、正職員だけでなくパートの求人も扱っています。対応しているのは15都道府県で、勤務時間や雇用形態の希望を伝えたうえで求人を紹介してもらえます。

時短勤務が続けられそうな園があるのか、今の条件で探すとどんな求人が出てくるのか。それを知るだけでも、判断の材料になります。

まだ辞めると決めていなくても大丈夫です

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※ここに書いた同僚の話は、特定を避けるために状況の一部を変えています。

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