「保育士を辞めたいけれど、園長に退職を言い出せない」
そんなときは、まず就業規則を確認し、主任や園長に「お話ししたいことがあります」と時間をもらいましょう。
話す場では、理由を長く説明するよりも、
「〇月末で退職したいと考えています」
と、退職の意思と希望日を短く伝えることが大切です。
とはいえ、人手不足や子どもたちのことを考えると、簡単には言い出せませんよね。
園長の反応が怖い。
年度途中だから迷惑をかけそう。
子どもや保護者に申し訳ない。
責任感がある人ほど、「自分が辞めたら困るかもしれない」と抱え込みやすいものです。
私自身、1回目の退職では体調が限界になり、園長へ直接伝えることができませんでした。
一方、10年勤めた園を辞めたときは、伝える時期や言葉を準備したことで、円満に退職できました。
同じ退職でも、いつ・誰に・どう伝えるかで、話の進み方は変わります。
この記事では、保育士歴13年で2回の退職を経験した私が、次の内容を実体験を交えて解説します。
- 退職を伝える時期と相手
- 園長に声をかける最初の一言
- 退職の意思を伝える例文
- 引き止められたときの返し方
- どうしても自分で言えないときの選択肢
退職を言いづらいと感じるのは、あなたが弱いからではありません。
「何をどう言えばいいか」を整理し、自分を守るための一歩を考えていきましょう。
保育士が退職を言いづらいと感じる理由
保育士が退職を言いづらいと感じるのは、めずらしいことではありません。
子どもや保護者、一緒に働く先生など、いろいろな人と関わる仕事だからこそ、「辞めたい」と伝えるだけでも大きな勇気がいります。
言い出せない理由を整理すると、主に次の3つです。
園長の反応や引き止めが怖い
退職を言い出せない理由のひとつが、園長や主任の反応への不安です。
「怒られるかもしれない」
「がっかりされるかもしれない」
「強く引き止められたら断れない」
そう考えると、退職の意思が固まっていても、声をかけられないまま時間が過ぎてしまいます。
私が初めて退職したときは、園長へ直接伝えることすらできませんでした。
体調が限界になって出勤できなくなり、母に園へ電話してもらい、最後は退職届を郵送しました。
職場へ連絡するだけで苦しくなるほど追い詰められているなら、直接言えない自分を責めなくて大丈夫です。
人手不足や子どもへの罪悪感がある
「自分が辞めたら、残った先生の負担が増える」
「担任を途中で辞めたら、子どもや保護者に申し訳ない」
責任感がある人ほど、周りへの迷惑を考えて退職を言い出せなくなります。
でも、人手不足への対応や職員配置は、本来は園全体で考える問題です。
子どもや保護者への引き継ぎも、退職する職員ひとりだけで背負うものではありません。
罪悪感があるのは、それだけ真剣に仕事と向き合ってきた証拠です。
できる範囲で引き継ぎをしながら、自分の生活や体調も大切にしてよいのです。
人手不足や職員への負担を理由に、いつも辞めにくい空気がある場合は、職場環境そのものに問題がある可能性もあります。
「今の園は少しおかしいかも」と感じる方は、ブラック保育園の特徴をまとめた記事も参考にしてください。
「もう少し頑張れる」と我慢してしまう
「こんなことで辞めていいのかな」
「もう少し頑張れば慣れるかもしれない」
そう考えているうちに、心や体の限界を超えてしまう人もいます。
朝になると涙が出る。
職場のことを考えると体が動かない。
眠れない日が続いている。
このような不調があるなら、「まだ頑張れるか」ではなく、「このまま続けて大丈夫か」で考えてください。
退職を考えることは、弱さでも逃げでもありません。
まずは退職を言いづらく感じている理由を整理し、伝えるための準備を少しずつ始めましょう。
保育士の退職はいつ伝える?
円満退職を目指すなら、まず園の就業規則を確認し、できるだけ早めに伝えることが大切です。
ひとつの目安は、退職希望日の3か月前です。
ただし、園の決まりや雇用契約によって異なります。
また、心や体が限界の場合は、年度末や3か月前という時期にこだわりすぎる必要はありません。
自分の体調と退職したい時期を整理し、次の順番で確認してみましょう。

最初に就業規則を確認する
退職を伝える前に、園の就業規則を確認しましょう。
就業規則には、
「退職希望日の何か月前までに申し出ること」
と書かれている場合があります。
1か月前、2か月前、3か月前など、園によって決まりは異なります。
入職時にもらった書類や雇用契約書、園から配られた資料を確認してみてください。
なお、期間の定めがない雇用契約では、民法627条では、退職の意思を伝えてから2週間で契約が終了するのが原則です。
ただし、契約期間が決まっている場合は扱いが異なることがあります。
「法律上の期限」と「園の就業規則」は分けて考え、判断に迷う場合は労働局などの相談窓口を利用しましょう。
円満退職なら3か月前をひとつの目安にする
園との関係をできるだけ悪くせずに辞めたい場合は、3か月前をひとつの目安にすると動きやすくなります。
早めに伝えることで、園側も次の準備を進められます。
たとえば、
- 後任の採用
- 職員配置の見直し
- 担当業務の引き継ぎ
- 保護者への案内
などです。
ただし、必ず3か月前に伝えなければ退職できないわけではありません。
まずは就業規則を確認し、自分の体調や退職希望日も含めて考えましょう。
年度末退職なら秋から冬に動き始める
3月末で退職したい場合は、秋から冬にかけて伝えると、園側も次年度の準備を進めやすくなります。
私が10年勤めた園を辞めたときは、9月初めに退職の意思を伝えました。
園が翌年度の採用に向けて動き始める時期だと考え、早めに伝えることにしたからです。
その年は、私を含めて6人が退職しました。
あとから退職を伝えた先生ほど、園長の反応が重くなっていたように感じます。
退職の意思が固まっているなら、「まだ早いかも」と待ちすぎず、早めに伝える方が話を進めやすい場合があります。
心身が限界なら年度途中でも無理をしない
年度途中に辞めることへ、罪悪感を持つ保育士は少なくありません。
担任を持っている。
大きな行事が近い。
子どもや保護者に迷惑をかけそう。
そう考えると、年度末まで我慢した方がよいと思ってしまいます。
しかし、眠れない、涙が出る、職場を考えると動けないなど、心や体に不調が出ている場合は、年度末まで待つことを優先しなくて大丈夫です。
引き継ぎは、できる範囲で行えば十分です。
年度途中であっても、自分の心や体を守ることを優先してください。
退職は誰に伝える?時間と場所の選び方
退職の意思は、まず主任や園長など、園の決まりに沿った上司へ伝えます。
同僚へ先に話すと、上司に伝える前に話が広がる可能性があります。
誰に、いつ、どこで伝えるかを決めておくと、声をかけるときの緊張を少し減らせます。
最初は主任や園長など上司に伝える
退職の意思は、まず直属の上司へ伝えるのが基本です。
園によって、
- 最初に主任へ伝える
- 園長へ直接伝える
- 主任と園長の両方へ伝える
など、順番が異なります。
普段の相談や欠勤の連絡を誰にしているかを思い出すと、最初に声をかける相手を判断しやすくなります。
順番が分からない場合は、就業規則を確認するか、
「退職についてご相談したいのですが、最初にどなたへお話しすればよいでしょうか」
と事務担当者などに確認してもよいでしょう。
ただし、退職を迷っている段階ではなく、意思が固まっている場合は、「相談」だけで終わらせず、退職したいことをはっきり伝えることが大切です。
同僚には正式に伝えたあとで話す
仲のよい先生へ先に相談したくなることもあります。
しかし、退職の話は園内で広がりやすいため、先に同僚へ話すのは避けた方が安心です。
自分が園長へ伝える前に話が伝わると、
「なぜ先に言ってくれなかったのか」
と思われたり、退職の意思を伝えにくくなったりすることがあります。
まずは上司へ正式に伝え、そのあとで園の指示に従って同僚へ伝えましょう。
退職することを子どもや保護者へいつ伝えるかも、自分だけで決めず、園と相談してからにします。
落ち着いて話せる時間と場所を選ぶ
退職の話は、子どもや保護者、ほかの職員に聞こえない場所で伝えます。
登園や降園の時間、行事前、職員が忙しく動いている時間帯は避けた方がよいでしょう。
私が退職を伝えたときは、午睡中の比較的落ち着いた時間に、
「お話ししたいことがあるのですが、少しお時間をいただけますか」
と声をかけました。
その場ですべて話そうとせず、まずは話す時間をもらうだけでも大丈夫です。
園長室や会議室など、落ち着いて話せる場所へ移動してから、退職の意思を伝えましょう。
どうしても勤務中に時間を作れない場合は、
「勤務後に少しお時間をいただけますか」
と事前にお願いしておくと、相手も時間を確保しやすくなります。
園長に退職を切り出す最初の一言と例文
退職を伝えるときは、理由を長く説明する必要はありません。
まず話す時間をもらい、そのあとで退職の意思と希望日を短く伝えます。
緊張すると言葉が出なくなることもあるため、伝える内容を事前にメモしておくと安心です。
まずは話す時間をもらう
園長や主任が忙しいと、声をかけるタイミングに迷いますよね。
その場ですべてを話そうとせず、まずは次のように時間をもらいましょう。

お話ししたいことがあるのですが、少しお時間をいただけますか?

今後の勤務について相談したいことがあります。落ち着いて話せる時間をいただけますか?
この段階では、退職理由まで詳しく話す必要はありません。
園長室など、落ち着いて話せる場所へ移動してから、退職の意思を伝えます。
退職の意思と希望日をはっきり伝える
話す時間をもらったら、最初に結論を伝えましょう。

一身上の都合により、〇月末で退職したいと考えています。

突然のご相談で申し訳ありませんが、〇月末で退職させていただきたいです。

よく考えたうえで、今年度末で退職することを決めました。
「辞めようか迷っています」と伝えると、悩み相談として受け取られたり、引き止めの話に変わったりする場合があります。
退職の意思が固まっているなら、
- 退職する意思
- 希望する退職日
の2つをはっきり伝えることが大切です。
退職理由は短く伝えればよい
退職理由を詳しく説明しなければならないと思うかもしれませんが、すべてを正直に話す必要はありません。
たとえば、次のように短く伝えます。
【家庭の事情の場合】
「家庭との両立が難しくなったため、退職を決めました」
【体調不良の場合】
「体調面を考え、今の働き方を続けることが難しいと判断しました」
【人間関係や職場環境が理由の場合】
「今後の働き方を見直したいと考え、退職を決めました」
不満をすべて伝えると、話し合いや改善の提案をされ、退職の話が進みにくくなることがあります。
退職理由は短く伝え、退職の意思が変わらないことを中心に話しましょう。
退職理由をどこまで正直に伝えるか迷う方は、角が立ちにくい退職理由の伝え方と例文をまとめた記事も参考にしてください。
詳しい理由を聞かれても話しすぎない
園長から、
何か不満があるの?
誰かとうまくいっていないの?
理由を詳しく教えて。
と聞かれることもあります。
話したくない内容まで説明する必要はありません。

個人的な事情のため、詳しくお話しすることは控えさせてください。

よく考えて決めたことで、退職の意思は変わりません。
と、落ち着いて繰り返しましょう。
退職理由の説明よりも、退職の意思と希望日を伝えることが大切です。
退職を引き止められたときの返し方
退職を伝えると、園長や主任から引き止められることがあります。
その場でうまく答えられなくても、すぐに結論を変える必要はありません。
大切なのは、相手を説得することではなく、退職の意思が変わらないことを落ち着いて伝えることです。
「もう少し考えて」と言われたとき

もう少し考えてみたら?
今決めなくてもいいのでは?
と言われることがあります。
退職の意思が固まっているなら、次のように返します。

十分に考えたうえで決めました。退職の意思は変わりません。

お気遣いありがとうございます。ただ、〇月末で退職したいと考えています。
理由を繰り返し説明するよりも、決めたことを短く伝える方が話がぶれにくくなります。
「人手不足だから困る」と言われたとき
人手不足を理由に、退職を思いとどまるよう求められる場合もあります。
そのときは、申し訳ない気持ちを伝えつつ、退職の意思は変えないようにします。

ご迷惑をおかけして申し訳ありません。できる範囲で引き継ぎは行いますが、退職の意思は変わりません。

人手不足の状況は理解していますが、〇月末で退職させていただきたいです。
職員配置や採用は、退職する職員ひとりだけが背負う問題ではありません。
「年度末までいて」と言われたとき
年度途中で退職を伝えると、

せめて年度末まで続けてほしい。
と言われることがあります。
続けることが難しい場合は、無理に約束しないようにしましょう。

申し訳ありませんが、体調や家庭の事情を考えると、年度末まで続けることは難しいです。

〇月末での退職を希望しています。できる範囲で引き継ぎは行います。
心身に不調が出ている場合は、周りへの配慮よりも自分の体調を優先して大丈夫です。
「次が決まってから辞めれば」と言われたとき

次の仕事が決まってから考えた方がいい
今辞めるのはもったいない
と、心配する言葉をかけられることもあります。
しかし、退職するかどうかは自分で決めることです。

今後のことも含めて考えたうえで、退職を決めました。

次の仕事については、自分で準備を進める予定です。
と短く返しましょう。
その場で気持ちが揺れた場合は、

一度持ち帰って整理します。
と答えても大丈夫です。
ただし、退職の意思が固まっているなら、後日あらためて希望日と意思を伝えましょう。
どうしても自分で退職を言えないときの選択肢
退職したい気持ちは固まっていても、園長へ直接伝えられないことがあります。
職場のことを考えるだけで苦しくなるほど追い詰められているなら、対面で伝えることだけにこだわらなくて大丈夫です。
自分の状態に合った方法を選びましょう。
メールや手紙で退職の意思を伝える
直接話すことが難しい場合は、メールや手紙で退職の意思を伝える方法もあります。
その場合は、
- 退職したい意思
- 希望する退職日
- 直接伝えられない理由を簡潔に
- 今後の連絡方法
を短く書きます。
たとえば、次のように伝えます。
「体調面から直接お話しすることが難しいため、書面で失礼いたします。〇月末で退職したいと考えています」
メールを送るだけで終わらせず、退職届の提出方法や返却物については、園と確認しましょう。
家族や医療機関を頼る
自分で連絡することすら難しい場合は、家族に助けてもらっても構いません。
私が初めて退職したときは、園からの連絡に出られないほど追い詰められていました。
そのため、母に園へ欠勤の電話をしてもらい、退職届は郵送しました。
直接伝えられなかったことに後ろめたさはありましたが、当時はそれ以外の方法を選べない状態でした。
眠れない、涙が止まらない、動悸や吐き気があるなど、心や体に不調が出ている場合は、医療機関へ相談することも大切です。
診断書が必要になる場合もあるため、無理をせず専門家を頼りましょう。
退職代行は最後の選択肢にする
園とのやり取りが難しく、家族の助けも得られない場合は、退職代行を利用する方法もあります。
ただし、サービスによって対応できる範囲が異なります。
利用するときは、
- 運営元が信頼できるか
- 料金が明確か
- 退職の意思を伝えるだけでなく、交渉が必要か
- 弁護士や労働組合が対応しているか
を確認しましょう。
退職代行は、気軽に使うものというより、自分ではどうしても動けないときの最終手段です。
直接伝えられなかったからといって、あなたが無責任なわけではありません。
自分の心や体を守るために、必要な方法を選んで大丈夫です。
保育士の退職が言いづらい人のよくある質問
ここでは、退職を言い出せない保育士さんが悩みやすい疑問をまとめます。
保育士の退職はいつ伝えるのがよいですか?
まずは園の就業規則を確認しましょう。
円満退職を目指すなら、退職希望日の3か月前がひとつの目安です。
ただし、心身に不調がある場合は、年度末や3か月前にこだわりすぎず、早めに相談してください。
保育士は年度途中でも辞められますか?
年度途中でも退職できます。
担任や行事が気になるかもしれませんが、心や体に不調がある場合は、年度末まで無理をする必要はありません。
できる範囲で引き継ぎを行い、退職希望日を伝えましょう。
退職理由は詳しく説明しなければいけませんか?
退職理由を細かく説明する必要はありません。
「一身上の都合」「家庭の事情」「体調面を考えて」など、短く伝えることもできます。
詳しく聞かれても、話したくない内容まで説明しなくて大丈夫です。
園から退職を認めてもらえない場合はどうすればよいですか?
まずは、退職の意思と希望日を書面に残しましょう。
話し合いが進まない場合は、都道府県労働局の総合労働相談コーナーや、労働条件相談ほっとラインなどへ相談できます。
強い引き止めや威圧的な対応がある場合は、ひとりで抱え込まず、早めに第三者を頼ってください。
まとめ:退職を言いづらくても一歩ずつ準備しよう
保育士が退職を言いづらいと感じるのは、園長の反応や人手不足、子どもへの罪悪感があるからです。
しかし、周りへの責任をひとりで背負う必要はありません。
退職の意思が固まったら、まず就業規則を確認し、主任や園長へ話す時間をもらいましょう。
伝えるときは、

〇月末で退職したいと考えています。
と、希望日と退職の意思を短く伝えることが大切です。
退職理由をすべて正直に話す必要はありません。
引き止められた場合も、相手を説得しようとせず、

十分に考えて決めました。退職の意思は変わりません。
と落ち着いて伝えましょう。
どうしても直接言えないほど追い詰められているなら、メールや手紙、家族の助けを借りる方法もあります。
眠れない、涙が出る、職場のことを考えると体が動かないなどの不調がある場合は、年度末や周囲の都合よりも自分の心と体を優先してください。
退職を考えることは、無責任でも逃げでもありません。
今の園を辞めることと、保育士を辞めることも同じではありません。
自分に合う働き方を探したい方は、悩みや希望に合う保育士向け転職サービスを比較した記事も参考にしてください。
退職を言いづらいときこそ、伝える時期と言葉を整理し、自分を守るための一歩を進めていきましょう。

