「保育士に戻りたいけど、準備にお金がかかりそうで不安……」
そう感じている方に、知っておいてほしい制度があります。
保育士として復帰するときは、仕事用の持ち物や通勤用品など、意外と出費がかさみます。ひとつひとつは大きな金額でなくても、そろえるものが重なると負担に感じることもあります。
こうした復職時の準備費用を支える制度のひとつが、「再就職準備金(就職準備金貸付)」です。
私自身、6年のブランクを経て保育士に復帰したとき、この制度の存在をまったく知りませんでした。知っていれば使えた可能性がある制度なので、同じように見落としてほしくないと思い、整理しました。
ひとつ先にお伝えしておくと、再就職準備金は自治体や社会福祉協議会によって名称・金額・条件が異なります。この記事では制度の全体像をわかりやすく整理しながら、どこに確認すればいいかまで紹介していきます。
- 再就職準備金とはどんな制度か
- もらえるお金なのか、返すお金なのか
- 対象になる保育士の条件
- 金額の目安と使える費用の例
- 返還免除になる条件と注意点
- 申請の流れと問い合わせ先
- 続けられる職場を選ぶときの注意点
結論
再就職準備金は、保育士として復職するときの準備費用を支える貸付制度です。原則は「借りるお金」ですが、一定期間、対象施設で働き続けるなどの条件を満たすと、返還が免除される場合があります。
対象者・金額・申請時期は地域によって違うため、使えそうだと感じたら、早めに自治体や社会福祉協議会へ確認しておきましょう。
保育士の再就職準備金とは?
再就職準備金がどんな制度なのか、基本的なところから整理します。
復職時の準備費用を支える貸付制度
再就職準備金とは、保育士資格を持ちながら現場を離れていた人が、保育士として復職するときにかかる準備費用を支援する制度です。
保育士不足への対策として、各都道府県の社会福祉協議会などで実施されている場合があります。
対象となる施設への就職を条件に、復職前後に必要な準備費用の一部を借りることができます。
もらえるお金ではなく、条件つきで返還免除になるお金
ここで大切なことをお伝えします。
再就職準備金は、「もらえるお金」ではありません。原則は貸付、つまり借りるお金です。
ただし、一定の条件を満たすと返還が免除される場合があります。多くの自治体では、一定期間、対象施設で勤務を続けることで、返還免除の対象になる仕組みです。
利子についても、無利子としている場合が多くあります。条件を満たして返還免除になれば、結果的に返さなくてよい扱いになります。
「借りるお金」と聞くと不安に感じるかもしれませんが、返還免除の仕組みを知った上で、自分に合う制度かどうかを判断することが大切です。
返還免除の詳しい条件は、後ほどくわしく解説します。
自治体によって名称や条件が違う
再就職準備金は、国の制度をもとに、各都道府県の社会福祉協議会などが実施していることが多い制度です。そのため、自治体によって名称や条件が異なります。
よく使われる名称には、以下のようなものがあります。
- 再就職準備金
- 就職準備金貸付
- 保育士就職準備金
- 潜在保育士就職準備金貸付
「復帰支援金」や「補助金」という言葉で検索している方もいるかもしれませんが、正式な制度名とは異なる場合があります。
自分が住んでいる地域や、これから働く予定の地域でどのような名称で実施されているか、自治体や社会福祉協議会の情報を確認してみてください。
再就職準備金の対象になる保育士は?
「自分は使えるのかな?」と気になっている方のために、対象になりやすい人の条件を整理します。
対象になりやすい人の条件
再就職準備金の対象になりやすいのは、主に次のような方です。
- 保育士資格を持っている
- 保育士登録が済んでいる
- 一定期間、保育士として勤務していなかった
- 対象となる施設に就職する予定がある
資格を持ちながら現在は保育の現場を離れている「潜在保育士」が、主な対象になります。
ただし、離職期間の長さや就職先の施設種別、勤務時間などの細かい条件は実施先によって変わります。自分が対象になるか迷う場合は、次の表を目安にしてみてください。
| 対象になりやすい人 | 確認が必要な人 |
|---|---|
| 保育士資格を持ち、保育士登録が済んでいる人 | 登録状況が分からない人 |
| 一定期間、保育士として働いていなかった人 | 離職期間が短い人 |
| 対象施設に就職予定の人 | 就職先が対象施設に含まれるか分からない人 |
| パートや短時間勤務で復帰したい人 | 週の勤務時間が短い人 |
| 内定後すぐに制度を確認できる人 | すでに働き始めている人 |
パート・短時間勤務でも対象になる?
「正社員でないと使えないのでは」と思う方もいるかもしれませんが、パートや短時間勤務でも対象になる場合があります。
ただし、勤務時間に条件が設けられていることがあります。週20時間以上などの基準があるケースもあるため、希望する働き方が対象になるかは事前に確認しておきましょう。
「パートで復帰したいから無理かも」と決めつけず、対象になる可能性があるか確認してみることが大切です。
対象外になる可能性があるケース
次のような場合は、対象外になる可能性があります。
- すでに保育士として勤務を始めている
- 就職先が制度の対象施設に含まれない
- 申請期限を過ぎている
- 実施先が定める離職期間の条件を満たしていない
- 必要な書類がそろっていない
特に注意したいのは、申請のタイミングです。
制度によっては、就職前や内定後すぐの申請が必要な場合があります。気づいたときには申請期限を過ぎていた、ということを防ぐためにも、「使えそうかも」と感じたら早めに動くことが大切です。
対象になるかどうかは、自分だけで判断しきれないこともあります。内定が出た時点、または求人に応募する前の段階で、自治体や社会福祉協議会に確認しておくと安心です。
いくら借りられる?金額と使い道の目安
再就職準備金を利用するうえで気になるのが、「いくら借りられるのか」「どんな費用に使えるのか」という点です。ここでは、金額の目安と使い道の例を整理します。
上限は40万円前後の自治体もある
再就職準備金の上限額は、実施先によって異なります。
40万円前後を上限としている例もありますが、すべての地域で同じ金額が借りられるわけではありません。20万円程度のところもあれば、条件によって金額が変わる場合もあります。
正確な金額は、申請する地域の社会福祉協議会や自治体の情報で確認しておきましょう。
準備金として使える費用の例
再就職準備金は、保育士として復職するために必要な準備費用に使える制度です。
たとえば、次のような費用が対象になることがあります。
- 仕事用の靴や上履き
- エプロンや動きやすい服
- 通勤用バッグや自転車など
- 就職に必要な研修・講習の費用
- 転居が必要な場合の引っ越し費用
ただし、対象になる費用の範囲は実施先によって違います。「これは対象になるのかな?」と迷うものがある場合は、申請前に確認しておくと安心です。
復帰前に意外とかかるお金
私自身も、保育士に復帰するとき、思っていた以上に準備するものがありました。
仕事用の靴、エプロン、動きやすい服、通勤に使うものなど、ひとつひとつは大きな金額でなくても、まとめてそろえると負担に感じることがあります。
保育の仕事は体を動かす場面が多いので、家にあるもので何でも済ませられるとは限りません。健康診断や必要書類の準備などで、思わぬ出費が出ることもあります。
再就職準備金は、こうした復職前後の出費を支えてくれる制度です。「復帰したいけれど、準備費用が不安」という方は、使える可能性があるか早めに調べておくと安心です。
返還免除になる条件
再就職準備金で特に気になるのが、「借りたお金は本当に返さなくていいのか」という点ではないでしょうか。
ここでは、返還免除の基本的な考え方と、途中で退職・転職した場合の注意点を整理します。
一定期間働くと返さなくてよい場合がある
再就職準備金は貸付が原則ですが、一定の条件を満たすと返還が免除される仕組みがあります。
たとえば、対象施設で2年程度働き続けることを条件にしている制度があります。返還免除の条件を満たせば、借りたお金を返さなくてよい扱いになります。
ただし、必要な勤務期間や対象となる施設の種別は、実施先によって違います。
「2年働けば必ず免除される」とは言い切れないため、申請前に返還免除の条件を確認しておくことが大切です。
途中で退職・転職した場合はどうなる?
返還免除の条件を満たす前に退職や転職をした場合、返還が必要になる可能性があります。
ただし、転職先が同じく制度の対象施設である場合など、継続して働いている扱いになるケースもあります。やむを得ない事情がある場合の取り扱いも、実施先によって変わります。
「転職したら必ず全額返さないといけない」と決めつけず、まずは申請先に相談しましょう。
状況によっては、必要な届出や手続きで対応できる場合があります。
産休・育休・休職時は確認が必要
産休・育休、病気による休職などで勤務を中断した場合の扱いも、事前に確認しておきたいポイントです。
継続勤務として扱われる場合もありますが、届出が必要になるケースがあります。手続きをしないままにしてしまうと、返還免除の対象から外れる可能性もあるため注意が必要です。
産休・育休の予定がある方や、家庭の事情で働き方が変わる可能性がある方は、申請時に届出のルールを確認しておくと安心です。
返還免除を目指すなら、制度の条件だけでなく、無理なく続けられそうな職場かどうかも大切です。職場選びの考え方は、後半でもくわしく触れます。
申請はいつ?流れ・必要書類・問い合わせ先
「使えそうな制度だとわかった。でも、どうやって申請するの?」という方のために、申請の流れと確認しておきたいポイントを整理します。

申請は就職前・内定後すぐ確認を
再就職準備金で最も注意したいのが、申請のタイミングです。
制度によっては、就職前や内定後すぐに申請が必要な場合があります。「働き始めてから申請すればいい」と思っていると、気づいたときには期限を過ぎていた、ということになりかねません。
「使えそうかも」と感じた時点で、まずは申請先に問い合わせておくことをおすすめします。
申請から返還免除までの流れ
大まかな流れは以下の通りです。実施先によって手順が異なる場合があるため、あくまでも目安として参考にしてください。
- 自治体・社会福祉協議会などで制度の有無を確認する
- 募集要項・申請書類を入手する
- 就職先の内定・採用予定を確認する
- 必要書類をそろえて申請する
- 審査・貸付決定
- 対象施設で勤務を開始・継続する
- 返還免除の条件を満たしたら免除申請をする
特に注意したいのは、就職と申請の順番です。
制度によって、就職前の申請が必要な場合もあれば、内定後に申請する流れになる場合もあります。勤務開始後でも申請できるかどうかは実施先によって違うため、自己判断で進めないようにしましょう。
必要書類の目安
申請に必要な書類は実施先によって異なりますが、一般的に求められることが多いものとしては以下が挙げられます。
- 申請書(実施先の様式)
- 保育士登録証の写し
- 就職先の雇用契約書または採用証明書
- 求職登録をしていたことが分かる書類
- 本人確認書類
- 連帯保証人に関する書類(必要な場合)
書類の種類や様式は実施先によって違います。必要書類の不足で申請が遅れないよう、早めに確認し、余裕を持って準備しておきましょう。
問い合わせ先
再就職準備金の問い合わせ先は、主に以下の窓口です。
- 都道府県社会福祉協議会
- 福祉人材センター
- 保育士・保育所支援センター
- 市区町村の担当窓口
「どこに聞けばいいかわからない」という場合は、まず都道府県の社会福祉協議会や、保育士・保育所支援センターに問い合わせてみるとよいでしょう。
申請前の注意点
最後に、申請前に確認しておきたい注意点をまとめます。
- 予算に上限があり、年度途中で受付終了になることがある
- 連帯保証人が必要な場合がある
- 住所変更・転職・休職時は届出が必要になることがある
- 申請期限を過ぎると対象外になる可能性がある
- 返還免除には、勤務期間や就職先の条件がある
制度の名称・条件・金額は、自治体や年度によって変わることがあります。
申請前には必ず、各自治体や社会福祉協議会などの公式情報を確認してください。
復帰支援金・補助金・給付金との違い
ここまで再就職準備金について見てきましたが、似た言葉に「復帰支援金」「補助金」「給付金」などがあります。
混同しやすいため、簡単に整理しておきます。
| 制度名 | 種類 | 内容の概要 |
|---|---|---|
| 再就職準備金(就職準備金貸付) | 貸付(返還免除あり) | 復職時の準備費用を支援する制度。条件を満たすと返還免除になる場合がある |
| 保育料貸付 | 貸付(返還免除あり) | 復職するために、子どもを保育施設に預ける費用を支援する制度 |
| 自治体独自の給付金 | 給付(返還不要) | 自治体ごとに内容が異なる。条件を満たすと返還不要で受け取れる場合がある |
| 処遇改善手当 | 給与加算 | 在職中の保育士の給与に上乗せされる手当。就職後の給与に関わるもの |
「保育士 補助金 20万円」などで検索している方もいるかもしれませんが、それは自治体独自の給付金や、別の支援制度を指していることがあります。
再就職準備金とは、目的・対象・返還の有無が違う場合があるため、名称だけで判断しないことが大切です。
気になる制度を見つけたら、対象者・金額・返還の有無・申請時期を確認しておきましょう。
支援制度を使う前に、続けられる職場か確認しよう
再就職準備金は、一定期間働き続けることで返還免除の対象になる制度です。
だからこそ、「続けられる職場かどうか」は、制度を活用するうえで大切なポイントになります。
返還免除には「続けること」が前提にある
再就職準備金で返還免除を目指すなら、対象施設で一定期間、働き続ける必要があります。
途中で「やっぱり合わなかった」と退職した場合、返還が必要になる可能性があります。
「とりあえず受かればいい」という気持ちだけで職場を選ぶと、後から「もっと確認しておけばよかった」と感じることもあります。
制度を安心して活用するためにも、長く働けそうな職場かどうかを事前に見ておくことが大切です。
求人票だけでは分からないことがある
求人票に書かれた条件だけでは、実際の働き方が見えにくいことがあります。
私自身も、求人情報を見ていたときは「短時間でも働きやすそう」と感じていたのに、実際に働き始めると、想定していたより勤務時間が長くなることもありました。
条件は書いてある通りに見えても、園の状況によって変わることがあります。
求人票だけで決めるのではなく、応募前や面接時に、実際の勤務時間やシフトの組み方を確認しておくと安心です。
復帰後に続けやすい職場を見分けるポイントは、別記事「ブランクあり保育士の職場の見分け方」でも詳しくまとめています。
応募前に確認しておきたいチェックリスト
以下の点は、求人票だけでは分かりにくいことが多い項目です。
面接や見学の際に、無理のない範囲で確認しておきましょう。
- 実際の勤務時間
- シフトの組み方
- 残業や持ち帰り業務の有無
- ブランクありの職員が働いているか
- 急な休みや早退の相談がしやすいか
- 職員の人数に余裕があるか
とはいえ、面接の場で勤務条件や職場の雰囲気について聞きにくいと感じる方もいると思います。
自分で確認しづらい場合や、複数の園を比べながら探したい場合は、条件を相談しながら求人を探せる転職サービスを使う方法もあります。
保育士の再就職準備金でよくある質問
再就職準備金について、よくある疑問をまとめました。
保育士の再就職準備金とはどんな制度ですか?
保育士資格を持ちながら現場を離れていた人が、復職するときの準備費用を支援する制度です。
原則は貸付ですが、一定の条件を満たすと返還が免除される場合があります。
再就職準備金はもらえるお金ですか、返すお金ですか?
原則は「返すお金」、つまり貸付です。
ただし、対象施設で一定期間働き続けるなどの条件を満たすと、返還が免除される場合があります。
いくら借りられますか?
上限額は地域によって異なります。
40万円前後を上限としている例もありますが、正確な金額は申請先の情報で確認してください。
パート保育士でも申請できますか?
パートや短時間勤務でも対象になる場合があります。
ただし、週20時間以上など勤務時間の条件が設けられていることがあるため、希望する働き方が対象になるか確認しておきましょう。
申請はいつすればいいですか?
就職前や内定後すぐの申請が必要な場合があります。
働き始めてからでは間に合わないこともあるため、「使えそう」と感じた時点で早めに申請先へ問い合わせるのがおすすめです。
途中で退職したら返還が必要ですか?
返還免除の条件を満たす前に退職した場合は、返還が必要になる可能性があります。
ただし、対象施設へ転職した場合など、継続扱いになるケースもあります。自己判断せず、申請先に相談しましょう。
どこに問い合わせればいいですか?
都道府県の社会福祉協議会、福祉人材センター、保育士・保育所支援センター、市区町村の担当窓口などが主な問い合わせ先です。
迷ったら、まず都道府県の社会福祉協議会か、保育士・保育所支援センターに確認してみるとよいでしょう。
まとめ:再就職準備金は早めに確認して、続けられる職場選びにつなげよう
最後に、この記事のポイントを整理します。
再就職準備金は、保育士として復職するときの準備費用を支える制度です。原則は貸付ですが、一定期間働き続けるなどの条件を満たすと、返還が免除される場合があります。
ただし、名称・金額・条件は地域や年度によって変わることがあります。利用を考えている方は、次の流れで確認してみてください。
- この記事で制度の全体像をつかむ
- 自分が住む地域や就職予定先の自治体・社会福祉協議会で対象条件を確認する
- 返還免除を意識して、無理なく続けられそうな職場を探す
制度を知っているかどうかで、復職時の負担は変わってきます。
私自身はこの制度を知らずに復帰しましたが、これから保育士に戻る方には、使える制度がないか事前に確認してほしいと思っています。
保育士のブランク復帰そのものに不安がある方は、別記事「保育士のブランク6年でも復帰できた体験談」も参考にしてください。
求人探しで迷っている方は、別記事「保育士転職サービスの比較記事」で、ブランクありでも相談しやすい探し方をまとめています。

